雇われて働く人にとって、お金以外で勤め先から与えらているものは基本的にほとんどすべて借り物で、勤め先を離れたらそれらは失われてしまいます。
歳を取ってから、あるいは若くてもいきなり出されて何もやれずに戸惑うことがないように、早くから準備してもう一つの居場所あるいはもう一人の自分を作っておくことは大事です。
勤め先は自分のものではない
定年後にむかしの元勤め先の人たちに会おうと思ってもなかなか会ってもらえなかったり、「昔自分は○○だった」と偉そうにしてしまったがために、周りに相手にしてもらえなくなったといったことをよく耳にします。
そういった人の多くは、在職中から元勤め先や元勤め先から貸し与えられていたもの(たとえば地位や人脈など)を、ずっと自分の実力で築いてきたものと思い込んでいて、引退後あるいは離職後に誰にも相手にされなくなってからようやくそれが勘違いだったと気づくようですが、それでは遅かったりします。
結局助けてくれる人もいなくなってしまい、じぶんの新たな居場所を確保できずに歳を取りそのままでいるという例も聞くこともあります。
ですから、そうならないためにも、勤め先というところは、基本的には偶然ただ雇われた人が集まっただけのところと認識しておかないとなりません。
幻冬舎Gold Onlineの「第二の人生、明るいはずが…有能社員でさえ「定年で転落」の現実」などにも、勤め先というところは「閉ざされた空間に過ぎない」=偶然その企業もしくは機関などに雇われた人が集まっただけで、そこに属する人間だから関わってくれていただけのこと、とあります。
これまでは勤め先には全力で尽くして自分の人生をささげるべきもの、とされてきたので、先輩ヅラができなくなるのは寂しいし冷たいと感じる人もいるかもしれませんが、元々たまたまそこに集められただけで、自分の家族でも永遠の部下でもないのですから、離れれば関わってくれないことがあるのも当たり前と言えば当たり前なので、仕方がないことではあります。
離れたら構ってくれなくなるのは、元勤め先の人たちだけでなく、元取引先の人たちもそうです。勤め先を離れてしまえば、彼らにしてみれば言い方は悪いですが辞めた人にはもう用がない=役に立たないので、中々付き合ってはくれなくなります。
趣味系・地域活動への参加でなくても、自分の世界は広げられる
ビジネス系の雑誌などを見ると、元の勤め先を離れてから居場所をなくして困らないためには、ふだんから自分が住むコミュニティなどで何かボランティアをして関りを持ったり、何か趣味を始めるといったことがよく提案されています。
ですが、人付き合いがそれほど得意でない人にしてみれば、いきなりそういった場に新たに加わるのは難しいところもあり、なかなかそれができず何年も経ってしまった、という人もいます。
そういった苦労をしないためという意味でも、投資はかなり有用です。
趣味もしくは地域活動の場合、中には自分と合わないタイプの人も居るかもしれず、その中に居るかぎりは、そういう人たちとも上手く付き合っていかないとなりません。どうしても嫌な時は属する場を変えれば済むことではあるのですが、ものによっては毎回それができるわけでもありません。
それに対して、投資や自分で商売をする場合は、だれと関わるかを自分が選ぶことができます。この二つの場合でも商売のほうは、かせぐためには多少ガマンをしなければならない部分がありますが、投資の場合は自分の世界を広げて関わる人の数を増やしつつも、自分と合わないと思える人とは完全に関わらない・入れさせないといったこともできます。
不動産や株式については年齢層は上から若めの人まで様々で、ネット系のスタッフさんたちは全体的に若めです。気の合う人たちにだけ仕事を発注するといったことで、数を増やして付き合いを広げつつ自分も新しいことも学べます。投資対象は自分の持ち物で勤めのように「クビ」とかはないので、威張らず誠実にやり取りすれば長く付き合ってもらえます。新しい案件や全く知らなかったことを紹介してくれることもあるので、さらに世界を広げていくこともできます。
勤めは出されたらそこで大体終わりです。じぶんのものは長く自分のものとして活かせるので、勤め以外の「もうひとつ」を早くから持つことをお勧めします。