将来が不安なので投資をしているという人は意外と多いそうです。ですがここでも何度か触れた世論調査などによると、家賃や配当だけで生計を立てている人はほんの数パーセントしかいないので、投資をしているといってもそのほとんどはファンドなどで長期で積み立てて放っておき売却益を得るような感じで、長期で定期的な収入を得るという本来の投資はしていないようです。
もちろんそういった「投資」でも何も準備しないよりは全然よいのですが、ただ現金の塊を作るだけではお金を心配は無くならないので、それの代わりに、ずっと稼いでくれるものを増やすほうが、もっと安心を得られます。
老後2,000万円問題がきっかけ?
LIMOの「老後資金に「不安」8割…みんなの「資産形成」、どんなことしてる?」(https://limo.media/articles/-/17597)によると、今年5月に行われた老後の資金準備に関する意識調査で、自分の老後に備えて資産運用が必要と答えた人は約9割を超えたらしく、おそらく昨年6月に騒がれた「老後2,000万円問題」がきっかけになったのか、以前と比べて多くの人が危機意識を持っているようです。
株式会社LENDEXが公表しているその調査結果を詳しく見てみると、実際に老後に向けて対策(投資や貯蓄や保険加入など全て含み)を始めた人は73.5%居て、その中の87.4%の人は実際に投資をしているようです。調査に応じた人の中の6割以上の人は貯蓄や保険加入以外にも実際に投資をしているということで、中々普段同じタイプの人に会えないのに、またずいぶんとアクティブなサンプルの1,122人だな…という印象を受けたのですが、よく見ると「調査対象:投資をしている40代後半~60代の男女」とあるので、それならたしかにこういう数字になりますね。
投資対象の内訳も詳しく見てみますと、一番多いのが株式で79.1%、次が投資信託資に67%、不動産への投資は16%とあるので、この並びを見ているとおそらくは定期的な収入を得るためというよりも、いつか売却益を得るため…という感じがします。
というのも、先日もここで触れた「知るぽると」のまだ引退していない年齢層の人たちも含めた調査結果(家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和元年調査結果)によると、実際に投資からの上がり(家賃や配当)などで生計を立てているという人はわずか数パーセントしかいないので、「投資をしている」という人のほとんどは長期で定期的に稼ぐというよりも、値動きでもうけるつもり買っておいたように見えます。
売却益を狙っている理由としてはおそらく、昨年騒がれた「老後2,000万円問題」のこの2,000万円という金額を素直にとらえてしまい、引退するまでに何が何でも現金の塊として2,000万円くらい持っていなければ老後は生きていけないと思ってしまったのでしょう。
「夫婦二人の年金収入だけでは毎月の生活費が4~5万円足りないから、引退してから約30年生きるとすれば、30年間の合計で2,000万円くらい必要」と言うだけですから、べつに現金の塊として2,000万円も貯めなくても大丈夫なのですが、どうしても現金がある程度大きな塊として手元にないとなぜか心配になってしまうようです。
実際に見ると早朝の出勤とか体を使った仕事はとてもキツそうなので、ここではあまりおすすめはしていませんが、70歳以上の高齢でも夫婦二人でそれぞれ毎月1~2万円ずつのバイトをすれば、貯蓄がゼロで、まったく何も投資をしていなくても、何とかそれだけで埋めることができる額なのかもしれません。
寿命予測は難しく…
仮にもし引退するまでに売却益で2,000万円くらい確保できたとしても、たぶんお金の心配は消えてくれません。
老後2,000万円という数字は、平均寿命の統計とかに基づいて引退後の余命約30年くらいとして試算して出されたものだと思いますが、もし予想外に長生きしてしまったら、これだけでは足りなくなってしまいます。
先程、最悪の場合は現金が無くても働けば何とかなるかも、と触れましたが、それでも80代とかになっていきなりバイトを始めるといったことはさすがに無理かもしれません… 60代・70代と働き続け…という人であればずっと働けるかもしれませんが、から未経験では意欲があったとしても雇ってもらえるか分かりません。
そういったリスクに備えるという意味でも、「とにかくある程度まとまった額の現金を積み上げることを目指す!」よりも、持ち主の体が弱っても・病気になったとしても定期的に家賃や配当などお金を稼いでくれる不動産や株式などを早くから増やしておく方が、より安心と言えます。