お金の心配というのは尽きないものらしく、今はコロナ禍のこともあって老後のことどころか、もし職を失ってしまったらまずはその状況をどう乗り切るかということのほうがもっと差し迫った問題となっていますが、この事態を乗り切って生き残れたら生き残れたで、落ち着いたらまた皆あらためて老後のことが心配になってくるのではないでしょうか。
でもそんなに心配する必要はありません。多くの人は基本的に老後生活は、「それまでに貯めたものを取り崩して何とかするもの」と思い込んでいるようですが、それよりももっと頼れるいい方法があります。
60代の人は実際いくらくらい貯めているのか
LIMOの「定年前後の60代お金事情、平均貯蓄はいくら?」によると、60代の人たちは平均で1,500万円くらい(ここ数年の平均は2,300万円前後ながら、本当の平均ともいえる中央値はこれくらいらしく)の貯蓄があり、それを取り崩す前提で老後に備えているようです。
全年齢層を含めた貯蓄額の中央値が1,000万円くらいなので、それよりも約500万円も多く貯めていることから、この数字を見るかぎりでは、たしかに今の60代の人たちの老後2,000万円問題への備えは大体整っているようにも見えます。
ですが取り崩して毎月の不足分を補う戦略である限りは、基本的にはお金の心配は消えて無くならないような気がします。たとえ引退するまでに現金で1億円くらい貯めることができたとしてもです。
というのも、現金は一度使ってしまったら、手元から無くなってしまうからです。消えて無くなってしまうものは、頑張っていくら積み上げたとしても、「いつ全部尽きてしまうのだろうか…」という不安は消えません。お金に関しては、特にその不安も強いものなのでしょう。
本当は、先日もこちらの「老後資金は500万円で十分という論文もあるらしく」でも触れた通り、実際には年金生活が始まってから毎月足りない生活費は約1万円強でしかないことから、現金で2,000万円もため込む必要なんてないのですが、昨年6月以来この2,000万円という数字が目立ちすぎて、中身もあまりよく検証せずに、あたかも老後を生き抜くには皆どうしてもこの額を用意せねばとならないと勘違いしてしまったようです。
毎月1~2万円の不足を埋めるだけでよいのであれば、400~500万円くらいを高配当が付く銘柄の株式を、または戸建てなどの中古の不動産を一つ持てば、問題解決です。
もしくは、あまりお勧めはしませんが、毎月1~2万円くらいであれば、歳を取ってからでも何とかバイトに就いて得ることもできそうです。
「働く」以外の継続的なかせぎで安心を得る
いずれにしても、現金で2,000万円貯める必要はありません。それどころか、本当に安心を得るためには、先程も触れた通り「現金を貯める」では問題解決にはなりません。
うっかり長生きをしてしまったら、毎月4~5万円の取り崩しを想定して貯めた2,000万円では足りなくなってしまうかもしれません。
働くのがキツい歳になってから、自分の手持ちの現金が減っていくのを見ると、どんなに楽天的な人でもかなり不安になるはずです。
ですから、老後のお金の心配を減らすためには、使ったら消えて無くなる現金の塊ではなく、「継続的にお金を得る」手段を持たないといけません。
ここでも何度か触れ、また先程のLIMOの記事にもありますが、実際にたとえば父のように配当や家賃の上がりだけで生活し、貯蓄や年金の上がりには全然手を付けない計を立ててという人はわずか数%と本当に少ないようです。
複数回答可でほとんどの人は、就業でかせぐ(約48%)、年金をもらう(約79%)、貯蓄を取り崩す(約28%)、でやりくりしているようです。やったこともないし、何となく怖いから、という人は多いので、確かにこういう数字にはなるでしょう。
ですが記事中にもあるとおり、人間はいつまで生きるかが読めません。元気なうちに人生を終えたいと思っていたとしても予期せぬ長生きは十分に起こり得るので、働けないリスクに備えるという意味でも「運用する」という考えは必要です。
額もそれほど大きく稼がなければならないわけではないので、「失敗するかも…」と心配しすぎなくても大丈夫です。しかも、祖父や父を見てきて思いますが、何歳になっても頭が回る限りは運用を続けることは十分に可能です。
歳を取ってからも働き続ける、と比べるともっと簡単で気も楽です。