海外では今回のコロナ禍で低所得者の人が多く犠牲になったところもありましたが、日本は皆保険も整っているし、著名でもお金があっても亡くなってしまった人もいるのでので、それほど偏りはなかったように見えます。
それでも研究者(?)の中には、日本でも低学歴あるいは低所得者の人がコロナ対策で足を引っ張ったと見たがる人がいるようなのですが、たぶん勘違いでしょう。高学歴でも感染源になった人は多くいますし、大学を出ていなくても感染拡大を防ぐために頑張った人はたくさんいます。
学歴では、モラルや偉さや経済的な強さは測れません。
大卒が偉くて高卒のモラルが低いとかいう偏見
大学を出た=時間を数年間ムダにした、と見てもほとんど間違いではないのですが、どうも大卒であることに価値があると勘違いしてしまっている人は多いようです。
東洋経済の「大卒と高卒「コロナへの警戒姿勢」の決定的な差」によると、学歴によって今回のコロナ禍のような事態への危機意識に差が見られたようです。
統計を取ればそういう傾向もみられるのかもしれませんが、それでも事実として大卒者・在学中の学生でも衛生観念が低くて町で飲んで暴れて感染源になった人や外からコロナを持ち帰った人は多くいるので、高卒者が感染を広げたということにはなりません。
調査では、大卒者は「社会貢献への意識が高いのかもしれない」とかいう仮説を立てて検証をしたようなのですが、そうした事実もあることもあることから「学歴が高い=モラルが高い」は結局ただの勘違いと出ただけだったんではないでしょうか。
だいたい高等教育を受けるにしても、ほとんどの人は実のところ、ただ将来いいお給料を得るために何となく進学したとか、親に言われるがままに入った程度でしかないはずです。
例えば我々メンバーもそこそこのところを出てはいますが、「なるべく人の迷惑にならないように」くらいはいつも心掛けてはいても、自己犠牲もいとわないとかいった意識はそんなに高くありません。
大学付きの研究者としては「学歴が高い=偉い」とでも信じたいのでしょうが、残念ながらその図式は成立しません。
また、調査からは「低所得者ほど「3密」の状況を回避できていないことを発見した」そうですが、それは彼らが私たちの生活を維持するために誰かがやらなければならない仕事に従事してくれているからでしょう。
そういった仕事を彼らにやらせておきながら、低学歴=感染源とくくろうとするのはどうかと思うのですが、大学を出ていなくても危機意識を強く持っている人はたくさんいて、マスク着用や消毒を徹底してたりします。
勤務形態についても同じようにただの勘違いと言えます。テレワークをしている人=偉いわけではありません。単純に一か所に集まられたら面倒で困るから来るなと、言われているだけです。
「大卒=経済的強者、高卒=経済的弱者」は、大いなる勘違い
記事中最後に高卒の人に関しては「低所得・低教育水準といった経済的弱者の感染リスクが特に高く、また彼らがさらなる感染拡大の原因となってしまう可能性を示唆している」と結んでいるのですが、大卒者=いっぱいお勉強をした=経済的強者ではありません。
この記事並みのヒドい言い方をすると、雇われ仕事一本で生きている身である限りは、たとえ大学を出ていても、経済的弱者でしかありません。自分の人生が常に勤め先の事情に左右され、もしクビになれば唯一の収入源を失って生活できなくなるリスクを抱えているのは同じだからです。
大学付きの研究者も当然その中に入ります。すぐには成果が出なくてもいつか人のためになるならば長期での研究も続けさせてもらえますが、ただの偏見で世の中のためにならない研究をしていれば、切られて生活ができなくなるので=経済的弱者です。
大卒の人は高卒の人を低く見たりしがちですが、大卒のデスクワークの人と高卒の特殊技能を持つブルーカラーの人を比べた場合、どちらが堅いかというと、デスクワークに就く大卒の人よりも、高卒でも特殊技能を必要とする仕事に就く人かもしれません。大卒者が好むデスクワークはこの先さらに機械に奪われていきますが、現場仕事も機械化は可能であっても安くはないので、しばらくまだ人間を使うでしょうから労働市場に長く残れる可能性があります。
それに、高卒あるいは中卒であっても、もし働かなくてもお金を稼げる状態にあれば、十分に経済的強者と言えます。
大学を出ると「あなたは一生懸命に無駄なことや使いもしないことを勉強しました!」という証書をもらえますが、それ自体は何のお金も生んでくれず、働く機会が与えられなければ、何の役にも立ちません。
学費を出してくれた父も怒るだろうし、自分で言うのもなんですが、「大卒」であることはその程度のものでしかありません。