老後の生活については、あまり心配し過ぎるのも考え物ですが、逆に全く何の準備もせずに「何とかなるや」と思っていたら、やっぱりダメだったということも良くあるようです。
自分が働けば何とかなる、ができない事態はいつでも発生しうるので、老後や不測の事態に備えるには、自分以外のものに稼いでもらうようにしておく必要があります。
老後の見通しが甘いと
よくありがちではありますが、Trillの「幸せな老後を夢見ていた夫婦が、老後破産まっしぐらになった3つの理由」(https://trilltrill.jp/articles/1449402)などによると、老後の生活が苦しくなる主な理由としては、①年金収入が想定額よりも少なかった、②働いて補うつもりが体を壊した、③子育てが終わったはずなのにまた養わなければならなくなった、などが挙げられるようです。
①については本当にこんな単純なミスが起こり得るのか?と思ったりもしますが、自営業の場合は引退時期を自分で決められることもあって案外多いそうです。自営業者の人がもらえる年金額は夫婦合わせて13万円近くになるはずですが、毎月2人分合わせて3万円の出費は大きく、将来もらえる金額に対してくたびれ損のイメージもあることから、4割近くの人が保険料を納めていないことから(*あくまで基礎年金部分について)、国民年金だけを見ると、満額もらえている人は少ないそうです。
満額の12~13万円をもらっても、毎月の生活費の不足分は10万円近くになりますが、それでも保険料をしっかり払っておけば、老後の生活費の半分はこれでカバーできるということになるので、6万円前後×2人でもバカにはできません。何もないよりはかなり助かるはずです。
また、自営業者の人たち向けにもちゃんと国民年金基金という2階建て部分がもらえる制度も用意されていて、それに加入して保険料を自分の余力に合わせて上乗せして払うことによって、年金の受給額をさらに数万円増やせますから、こうした制度も上手く活用していくと、将来の生活費の不足分は小さくできます。
②の「老後も働き続けて生活費の不足分を埋めるつもりが体を壊し…」については、これは自営業の人に限らず、勤め人も同じリスクを背負っているので注意が必要です。
しかも「体を壊す」は、歳を取る前にも起こり得ることです。よく「老後が心配」と聞きますが、若くても実はこうしたリスクが常に近くにあったりします。そういう意味では、老後とか年齢でどうのというよりも、自分が何歳であろうがふだんから「働けなくなるリスク」自体に備えておくことがより重要です。
もっと言えば、体を壊すまでもなく、もしもずっと健康であったとしても、勤め人であれば勤め先の都合次第でいつでもクビにされてしまいますし、自営業者であれば、今回のコロナ禍のような事態が起きると、自身が健康でも周りと接することが許されず稼げなくなることもあります。
③の独立したはずの子どもをもう一度養うことになった…については、予測も防ぎようもありませんが、②の働けなくなるリスクへの対策と重なりますが、とにかく「自分自身が働く」以外の収入源を持ち+増やすことが有効です。
もしも戻ってきた子供が独立できない状態だったとしても、「お金が働いてくれる」仕組みを残してあげれば、自分の死後もその仕組みの何割かは稼働するので(=持ち続けるだけで家賃・配当を稼いでくれるものもある)、子どもは何とか生きていけるかもしれません。
どう準備すればよいのか?
「老後2,000万円問題」を起こした報告書で示されていた老後の生活費の不足分4~5万円を補うためには、総額&長期の累積でざっと、株式であれば約1,000万円、不動産であれば200万円の戸建てが1.5件あればよいという計算になります。
総額で1,000万円なんて、老後2,000万円と変わらないくらいし無理だと思うかもしれませんが、難しくはありません。
「老後2,000万円問題」も、その金額を聞いただけで、あたかも引退時までに必ず現金で2,000万円持っていなければならないかのように思ってしまった人が多いようなのですが、それは誤解です。
あくまで月額で4~5万円程度必要(*この額も実態よりも多すぎてあやしいと言われてはいますが)というだけで、毎月それだけの額を何かに稼いでもらうことができれば、現金の塊として2,000万円も持っておく必要はないのです。
不動産と言っても中古の戸建てなどであれば、200万円前後で買うことができます。しかも安いからといって賃料が低いというわけではなく、毎月手取りで3万円以上稼げるものは沢山あります。
そういった物件から得た家賃を使わずに再投資することで、さらに数を増やせます。1回で1,000万円しろとかそれだけ貯めてからやれとか誰も言いません。小さいものを買って積み上げていっても良いのです。
株式についても同じです。年間で4~5%くらいの高配当が付く銘柄に投資をして毎月4~5万円の配当収入を得られるようになるには、総額で1,000万円ほど必要になりますが、1,000万円貯めてから投資しなければならないなんて決まりはありません。一株あたり十数万円とかから買えるので、それをコツコツと積み上げていけばよいのです。1,000万円貯めるまで待つなんて、あまりに時間が勿体無さすぎます。
先程ふれた記事のとおりに「多少の不測の事態にも揺らがないように」するためには、このように、生身の自分自身が働いてお金を稼ぐことだけを想定するのではなく、自身が動けなくても稼げるようにしておくと安心です。