本当かどうかは分からないですが、「ゆとりある老後生活を送るには…」を言葉通りに実践している方もいるんですね。毎月の年金収入と近いくらいの金額を毎月貯蓄から取り崩しながら生きるなんて、なかなかのギャンブラーですが、うっかり長生きしてしまったら、どうするつもりなのでしょうか。
使ったら消えて無くなる現金は、いくら積んでも老後の安心を与えてくれません。代わりに、お金をかせいでくれるものを持てば、使っても無くならないので、あと何年生きられるだろうといった不安は感じずに済みます。
ゆとりある老後生活のお手本
それなりに頑張ってきて歳を取ってからもガマンなんかしたくない、という気持ちは分かります。でも現実を見ないと、そのうち生活は立ち行かなくなります。
コメント欄にある通り本当の相談例ではなくネタなのかは分からないのですが、マネープラスの「「人生の最後に我慢節約は酷…」老後資金が底をつきそうな70代夫婦」には、「ゆとりある老後生活」(夫婦ともに無職の高齢者世帯で、毎月の支出が36万円前後)のお手本ともいうべき70代夫婦が登場します。
毎月の年金収入は約20万円で貯蓄も4,000万円あるものの、それに対して支出が大きすぎて、毎月15万円取り崩しているので約16年で今の貯蓄が尽きる、とあります。
今現在75歳なので、今の暮らしを続けても大丈夫そうには見えますが、問題は残り寿命を予測しにくい点です。寿命が延びた今でも90年以上生きるのは簡単ではなさそうですが、その一方で人生は確実に平均年数どおりに終えられるようなものでもないので、貯蓄の取り崩しはどうしてもギャンブルになってしまいます。「老後の備えてお金を貯めよう!」をあまりお勧めできない理由はそこにあります。
まずは支出を減らすこと
毎月の支出の内訳を見ると、最初に目につくのが食費の多さで、高齢の夫婦二人だけにもかかわらず毎月11.5万円と平均的な四人家族以上に食っているかの印象もあり、まずはこれから削る必要があるでしょう。現役時代並みの収入でもあれば話は別ですが、そうではないなら過ぎた贅沢と言えます。
スポーツジムだって、実際は高齢になれば運動ではなく風呂に入りに行くのが目的・日課になっている人も多いそうです。代わりに歩けば十分に運動にはなりますし、お金も掛からないので、ここでも数万削れるので、食費と合わせて7~8万円は削れるでしょう。
もしこのまま収入が増えないにしても、支出を減らすだけでも生きていける年数は増えるのでだいぶマシにはなります。ただ、これでも相変わらずの赤字体質ではあるので、本当に安心を得たければ、「取り崩す」ではなく「お金にかせいでもらう」の発想が必要です。
稼ぐものを持てば、老後に4,000万円も用意する必要はない
75歳から投資をするのは、もうさすがにキツそうなので、遅くとも体力も気力もまだ残っている60代半ばくらいまでにやって準備しておくのがよさそうです。若い人に比べて高齢の人が持つ武器は「時間がある」ですが、調べる・選ぶにはとにかく気力がいるので、動き回れるうちに少しでも早く始めておくほうが、焦って変なものをつかんだりせずに済みます。
元手が3,000~4,000万円もあるのであれば、何の心配もないように見えます。試しにシミュレーションしてみると、元手が大きいので、不動産であればいきなり集合住宅を買うことができます。1棟1,000万円としてこれを二つ持ち、地元の不動産屋さんの協力を得て客付けをしてもらえば、毎月30万円以上の家賃収入を得られます。残りの1,000万円を年利4~5%程度の高配当が付く株式の買付けに回した場合、毎月平均で(多くは3月・9月に集中しますが)4~5万円の配当収入を得られます。
元手も4,000万円も必要ありません。
これらの家賃と配当があれば、仮に年金収入がゼロだったとしても今の生活レベルで生きていくことができます。残りの人生を楽しみたいということであれば、今のやや贅沢な暮らしを続けることは一応可能です。
資産の価値が落ちたらどうするんだという人もいるかもしれませんが、もともと持っていたものを取り崩すつもりだったはずなので、結果は同じではないですか? それに価値が下がったとしても、かせぎ自体が少なくなるわけではありません。しかも、下がることがあるならば、その逆に上がることもあります。
貯める・(取り崩して)使う、だけの発想ではいくらお金を貯めても安心は得られないので、かせいでくれるもの自体を増やすことのほうが重要です。