今月19日、カナダの王立オンタリオ博物館などのチームは
カナダで発掘された恐竜の化石からがんの痕跡を、世界ではじめて見つけたと発表した。
人間の診断でも使用されるコンピューター断層撮影装置(CT)や顕微鏡で
すねの骨の組織を詳しく調べ、形態から骨のガン
「骨肉腫」
と特定した。
この恐竜は頭の後ろのフリル(襟飾りのような部分)や角を持つ植物食の角竜類
「セントロサウルス・アペルタス」
で、白亜紀後期の約7550万~7700万年前に生きていた恐竜だと分かった。
チームの一員である岡山理科大助教授の千葉謙太郎は
「絶滅した人間と動物の病気を比べれば、病気の長い歴史をたどるヒントになる」
と話した。
1989年に見つかった化石は、すねの骨の端が変形し
表面も凸凹しているという奇妙な特徴があったが、当初は骨折の痕とされていたが
オンタリオ博物館の古生物学者らは疑問を持ち、2017年に医学の専門家らとチームを結成し
CTによる骨内部の三次元解析や、千葉さんが作った骨の薄片の顕微鏡観察を通じ
骨の組織が崩れているなどの、特徴を確認した。
ガンは骨を広く浸食し、肺などのほかの臓器にも転移している可能性があるとわかった。
人間の生活習慣やストレス、遺伝などが原因で発症した病だと思っていたガンは
最古の時代から存在しているという事実に感慨深いものがある。
どんなに文明が発展しても変わらない事象は起きているのだと感じた。