ある起業家の方が言うには、同じお金を使うにしても、「投資よりビジネスのほうが、確実で安全」だそうです。見方によってはそうかもしれません。他の人が簡単に真似できないサービスの提供やモノづくりができて、自分でそれを売り込めるのであれば、確かに投資よりも全然確実にしかももっと稼げそうです。
ですが、だれもがそうできるわけではありません。
才能を要求される起業それに対し、投資は多少おバカでもできます。実際こうして特にとびぬけたものを何も持っていなくてテキトーに生きていても家賃や配当や広告料などをかせげているわけですから、ビジネスよりも投資のほうが簡単です。事前にある程度決められている以上には儲けられない代わりに失敗しにくいという点でも、投資のほうがやや安全かなと思うのです。
どちらが簡単か
まずはどちらが簡単かを見てきたいと思います。
ビジネスの場合、ほとんどのことは「自分でコントロールができるので簡単」と言われることもありますが、あるサイトを見たところ、起業してから最初の1年間を生き残れる可能性は約40%しかなく、5年間だと15%、10年間生き残れるのは6%、20~30年となると0.5%を切るそうです。
最初の1年で、実に6割もの高確率で倒産してしまうと聞くと、起業というのはかなり難しいものと感じてしまいます。
それに対して、
たとえば株式の場合は、株価が数年間ほぼ横ばいといったことも起こるので(特に危機後は)、そういうときは値動きでの儲けも発生しない代わりに損も出ることはなく、その間も保有し続けていれば配当も得られます。ですから、実需の堅い事業の銘柄に投資をしていれば、最初の数年どころか10年以上生き残るのはそれほど難しくありません。
これが不動産への投資でも同じです。良くも悪くも地価が横ばい、という期間が長く続くことはよくあるので、その間は儲けも損もありません。その期間中も借り手がついていれば地代・家賃が入ってきますし、借り手を見るけるのは何かビジネスを始めるよりも全然簡単です。
webサイトはやや事業や起業に近いところもあって(更新作業やコンテンツ追加で手間が掛かる)、不動産や株式ほど安定はしていませんが、流行り廃りも速い代わりにそれに乗ることもそれほど難しくないですし、もともと原価がほとんど掛かっていないものもあり、掛かっていてもせいぜい5~50万円程度ですから、もしダメだったとしても「また作ればいい」を実行するのは非常に簡単です。
また、投資対象が何であってもふつう投資を始めるために何か資格が必要になるということはありません。ですが起業する場合はそうはいきません。ビジネスの内容によって資格や許可などの取得が必要です。
しかも開業したらからと言ってお客さんが付くかも分かりません。投資の場合はこれについては起業ほど心配ありません。既にお客さんが付いている案件を買うことができるからです。
どちらが安全か
ビジネスで失敗する場合、それまで積んだ経験はたしかに「手元」に残るので、ある意味手残りゼロではないのかもしれませんが、物理的に換金できる資産はほとんど何もない状態のはずです。
それに対し、投資での失敗というのはほとんどの場合は、買ったそれらの資産の価値が下がった、あるいは思ったほど家賃や配当や広告料が稼げなかった、といったことを意味します。失敗は失敗ですが、借金をして買ったものでなければ資産自体は手元に残り、まだ使えます。
不動産の場合は、賃料を下げたりリフォームをしたり広告料を多めに出したりで入居者を付けて賃料を得ることができるし、株式の場合でも、もともと実需の堅い事業をやっている企業であれば配当は不況時でも出続けるはずで、サイトの場合は、更新・追加・リニューアルして再度稼ぎを生むようにさせることもできます。
また、仮にもし「全てを失った!」としても(そもそも借金経営でない限りは、投資対象を失うわけはないのですが…)、不動産であれば戸建てなどはせいぜい200万円、株式でも毎月1万円程度の配当を得るためにつぎこんだ資金はせいぜい240~300万円、サイトなら安いものであれば5~10万円程度です。
失えばそれはもちろんイタいですが、再起が図れなくなるような額ではありません。ビジネスは多くの場合、借り入れをして始めているので、失敗後はその借金が重くのしかかります。
自分の志向に合わせて選ぶので良い
このように、わりと簡単に安全にかせぎたいのであれば、起業よりも投資のほうが良いとは思います。ただし、投資の場合は大体事前に決められた料率/額だけしか稼げません。投資の世界ではもし利回りを20%出せたらかなりの好成績ですが、ビジネスの世界でもし100万円をつぎ込んで年間20万円しか売り上げを出せなかったら失敗と見られてしまいます。
大きく稼ぐ、という点では投資は起業に絶対勝てません。これなら他人に絶対負けないというものを持っている人は、投資などせず起業独立してそちらに集中したほうがいいかもしれません。
とはいえ、今回のコロナ禍のような事態が起きるとビジネスが上手くいかなくなることもあるので、自分の好みに合わせてどちらをやるか選んでいいと思います。余裕があれば両方やってもいいのです。