先月、光に反応する特殊な遺伝子を組み込んだニホンザルの脳に光を当てて、
サルの手を動かすことに、生理学研究所や東北大などのチームが、世界初となる研究結果を英科学誌にて発表した。
光で体の動きを操作する研究は、
マウスやラットではまだ研究段階であり
霊長類に至っては目を動かす報告しかなかったそうだ。
生理学研究所の南部篤教授は
「パーキンソン病患者の脳に電極をいれて電気で刺激する脳深部刺激療法(DBS)という治療があるが、電気のかわりに光を使う方法を開発できるかもしれない」
としている。
重度のパーキンソン病などの電気治療は
異常な神経活動を制御する方法が採られているため、神経細胞も刺激してしまい、手のしびれや舌の動きが悪くなるなどの副作用があるが、光療法は電気よりも刺激する範囲を狭くでき、副作用を抑えられる可能性があるという。
実験では、光に反応する物質をサルの脳表面の神経細胞に作らせ、その神経細胞に青色のレーザー光を照射すると、手首を曲げ伸ばししたり、肩が上下したりする動きが観察できた。
この動きは、電気刺激を与えた時とほぼ変わらない動きだったとのこと。
今回の研究結果で南部教授は
「光だと接触がなく感染症の恐れも減らすことができ、他の神経細胞を刺激しなくなる可能性がある。神経細胞の役割が分かれば、脳の解明につながり、パーキンソン病などの症状が起こるメカニズムを明らかになるだろう」
と話した。
難病といわれているパーキンソン病。
苦しむ患者たちが、光療法により不自由なく身体を動かすことができる日が来ることを心待ちにしております。