相続税納税のこともあるのでまったく現金ゼロというのもどうかと思うので、いざというときのために一応、法人役員向けの生命保険には入っています。ですが、何度も触れてきた通り、ある程度の金額の塊を手にしたとしても、少しずつであろうがまとめてであろうが、一度使えば手元からは消えて無くなってしまいます。
無くなってしまえば、次に何かあったらもう助かりません。
なので、現金の塊を大きくするよりも、繰り返しお金を生んでくれるものをより多く残してあげるほうが、家族は何度も(というか長く)助かります。
現金の塊だけを残しても
いざというときのために高額な生命保険を掛けている人は多いと思いますが、まずは実際大体どれくらいかかるものなのか、今現在加入率もどうなっているのか等を見てみたいと思います。
LIMOの「固定費の代表である「生命保険」みんなどれくらい払っている?」(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200412-00016878-toushin-life&p=2)によると、生命保険に加入している世帯の月額の保険料支払い額は、平均すると年収に対して7.2%にもなるらしく、例えば年収が600万円であれば、年額で見るとは43万円にもなり、月額にして3.6万円になるそうです。これを世の中で平均的と言われる世帯年収400万円世帯にあてはめた場合、月額は2.4万円になるので、生命保険料は現役世代にけっこう重くのしかかります。
それだけ掛けるだけあって、一家の大黒柱に何か起きてしまった場合には、2,250万円近く支払われるようですが、これでも一昔前(平成18年)と比較すると、支払われる保険金は1,000万円以上も下がっているそうです。加入率も見てみると、平成6年に94%近くあったものが、平成30年には88.7%と少しずつ減り続けているそうです。
二十数年間ずっと減少傾向のようですが、バブル崩壊から不況が長く続いたこともあり、毎月の掛け金を支払っていく余裕もかなり減ったからかもしれません。
月額でそれなりの額を掛けているのでたぶん掛け捨てではなく、貯蓄の機能を持ったもと思われますが、30年間もし何もなければ1,000万円位になっているようなプランでしょうか。
いずれにしても、現金の塊としてお金を残してあげたい、という趣旨で掛けられたもので、遺族にはそのお金を使ってそのあとの生活は何とかしてもらいたいということなのかと思いますが、
それで安心できるかというと少し微妙です。冒頭でも触れた通り、現金は一度使ってしまうと手元から無くなります。何かあるたびにそのお金を使って何とかし続けるだけでば、いずれそのお金も尽きてしまいます。尽きた後にまたべつの何かが起こればもう助かりません。
毎月3.6万円を30年間保険料として支払うと、総額は1,300万円近くになります。最後貯蓄として受け取れるプランなら、一塊の現金としてこれを受け取れるのかもしれませんが、「お金を残す」には、別の方法もあります。
保険の代わりに投資で備える
スタート時には何も資産を持っていないと仮定し、生命保険の代わりに、月額数千円から入れる共済などに替えるとします。
例えば同じ3.6万円を毎月積み立てるのであれば、4年半くらいで200万円貯まり、どこかに中古の不動産を買うことができます。買った不動産を賃貸に出せば、それが手取りで3万円以上は生んでくれるので、その家賃の上がりも積み立てることで、さらに資産を増やすことができます。
毎月3.6万円の積み立てを継続し、上がってくる家賃も貯め続ければ、今度は2年半でふたつめの不動産を買うことができます。それを最初の不動産と同じように賃貸に出せば、また手取り収入を3万円以上増やせます。
その後も毎月3.6万円の積み立てを継続し、ふたつの不動産から得られる家賃も貯め続ければ、今度は2年も掛からずに3つめの不動産を買うことができます。そしてまたこれも賃貸市場に出して入居者が付くと、また手取り収入を3万円以上は増やせます。
できるかぎり先にまず自分が若いうちに収入自体を増やしたほうがいいため、さらに不動産を増やすこととします。今度は毎月の3.6万円の積み立て継続+3つの不動産の家賃を使い、1年半掛からずに4つ目の不動産を買うことができます。これをまた同じように賃貸に出すことで、家賃収入をさらに3万円以上増やせます。4つあれば毎月13万円近くになるはずです。
ここまで約10~11年掛けて投資した総額は再投資した家賃も合わせて800万円になります。それまで現金は全く積み上げていないので(ほかに余裕はなかったと仮定しているので)、自分もある程度の年にはなっているはずですからこの先のことも考えて、ここからは株式への投資に切り替えることにします。
毎月3.6万円の積み立ては継続し、4つの不動産からの上がりもすべて手を付けずに全力で投資に回すとします。約1年半くらいで300万円位の資金にはなるので、これを4~5%の配当が付く銘柄の買付に回します。すると実際には3月末+9月末に集中することが多いですが毎月平均で、約1万円の配当収入を得られます。
その後も、今まで現金の積み上げがなかった分、株式への投資を続けるとすると、前回より1か月近く早くまた300万円近く貯め直せるので、これもまた同じような銘柄に投資します。そうすることで、また配当収入を月額平均で1万円増やせます。
ダメ押しであと1年半弱掛けて同じ手順を繰り返すと、配当収入も毎月平均で3万円になります。
この時点でスタートから約15年半~16年くらい経過していますが、毎月の貯金に投資も合わせてきたおかげで、資産の総額も、30年掛けて支払う保険料総額の約1,300万円と同じくらいに育っているはずです。
株式や不動産は売却しないと現金にはなりませんが、現金の塊とちがって、これらは繰り返し定期的にかなりの額のお金を生んでくれます。
使い方も教えておく
残り十数年で同じように投資を続けていけば、そのうち一家の大黒柱以上にお金を稼げるようになるかもしれません。45歳を超えるとクビのリスクも考慮しないとならなくなるので、順調にはいかなくなるかもしれませんが、それでもまだ毎月の収入自体は増やすことはできます。資産の総額もそのぶん大きくなります。
これらは、適切にメンテして、リバランスなどもしていけば、何度使っても消えて無くなりはしません。
子供がいれば、いっしょにモノポリーなどで遊び、どうやったらお金に働いてもらえるかを教えてあげると良いでしょう。働く以外にどうやったらお金を稼げるか、繰り返し遊べば概念を理解してくれると思います。
その上で、折を見て自分がどういったものを準備しているかを説明してあげたら、家族はかなり安心してくれるかもしれません。