マネー&ライフ

教育費と老後資金

コロナ禍のせいで将来がさらに心配になった人が増えたためか、FPたちが教育費がかさんで苦しんでいる家庭向けに、どうやったら老後資金として2,000万円を貯められるか系のアドバイスを良く目にします。

ですがだれが書いていようが同じことで、はっきり言ってしまうと、老後資金として2,000万円も現金でため込む必要はありません。65歳時点で一気に2,000万円も掛かるわけではないからです。昨年6月に金融庁に提出された報告書によると、毎月必要となる額は4~5万円なので、現金の塊が無くても、代わりに毎月これだけ埋められるものを持てば十分です。

教育費を定期的に見直すことは正しいこと

子どもを持つ親なら、自分の子どもにはできるかぎり良い教育を受けさせたいと考えると思います。ですがここでも費用対効果をしっかりと見ることが大切です。

自分もお勉強をしてお仕事に就いてお給料をもらえるようになったので、子どもにもそうさせてやりたい。そうさせれば他に何も残してやれなくても食べていける、と信じているからでしょう。

ですが、

今は人を雇う側を一生懸命お勉強しました的な人材をあまり必要としておらず、高い給料を払ってくれません。しかも20年くらい経って少し古くなった人員を簡単に捨てて、新しい人間に替えます。

かせぎについては色々な統計をみると、大卒で正規雇用でも年収300万円台というのはわりと普通なようで、7年前に財界の人たちが、いずれは年収1億円の幹部と年収100万円レベルの大多数に分けられることになる、と公言していた通りになりつつあります。

今はこのように、つぎ込んだ教育費を回収できるかどうかも分からない状況にあるので、無理して塾に行かせて大学に行かせ…と従来型のお勉強をさせたほうが良いのかどうかをよく考える必要があります。

FPたちからはあまり触れられていませんが、今は人間とだけではなく機械とも競争しなくてはならないことも強く意識しておくべきです。生身の人間に与えられる給料が減る要因のひとつには、今まで「頭脳労働」とか呼ばれていたお仕事が、だんだん機械に取られてしまったからというのもあります。その結果、あまり高等教育を必要とせず、まだ今は機械を導入すると採算がとれなさそうな仕事ばかりが増えています。

では具体的にいくらかかるのかを見てみると、

子どもの毎月の塾代一人分を月額2万5千円くらいとすると、×12か月で年間30万円それを小学校で2年間、高校でまた3年間やると、合計で150万円掛かります。こうして年単位で見てみると、結構な額になります。

どれくらいの効果があるかは子どもの素質や本人のやる気次第のところがありますが、他の多くの子どもが同じようなことをやっているので、そもそもそこで大きな差をつけることができません。取った点数見合った学校には入れるに、くらいのメリットしかありません。

塾だけでなく、学費自体も大きな負担になります。高校から大学までの7年間の学費の総額は少なくとも約900万円以上になるそうで、30代・40代の親にとっては非常に大きな負担となるので、自宅のローンの支払いなども重なると、とてもじゃないけど老後資金の準備を進める余裕などないようです。ダイヤモンドオンラインの「【資産形成の落とし穴】給料が教育費に消えていく!子育て世帯が奪われる「貯蓄のチャンス」とは」などを見ると、たとえ一家の働き手が二人であったとしても、お金を貯められないのは普通のようです。

何とか大学までの学費を出してあげられたならまだいいものの、子どもに返済義務があることを知らずに貸与型の奨学金を使ってしまったせいで、卒業後に苦しむ人も多く居ます。

こうしたことから教育に関しては、あまり効果がなかったり、本人にやる気がなさそうであれば、見切りをつけて他のことを学ばせるほうがいいかもしれません。いまは普通に大学を出たくらいでは、いい給料がもらえるかはわかりません。デスクワークでなくてもそこそこの給料がもらえる職はあります。

無理なく受けた教育の範囲で選べる職に就き、学費として使うはずだったお金は別枠として持たせてあげれば、そのほうがその子の助けになるかもしれません。何かの仕事をしつつ、若いうちからそれを原資に投資を始めれば、仮にもし一生給料が上がらなかったとしても、家賃や配当などの上がりを増やして少しづつ合計の収入を増やしていくこともできます。

65歳時点で現金で2,000万円持つ必要はない

老後資金に関して言えば、何が何でも2,000万円を現金で持つことを目指す必要はありません。冒頭でも触れた通り、老後に年金収入ではカバーしきれない支出は金融庁に提出された報告書では毎月4~5万円くらいとあり、別の論文でも消費動向を分析するとじつは今の高齢者夫婦世帯の毎月の生活費の不足額は1万円強でしかないとあります。どちらにしても、とにかく最大で月額4~5万円位を何とかすればいいわけで、65歳時点で現金の塊として2,000万円必要とは書かれていないようです。

それに、何とか現金2,000万円を積み上げられたとしても、それを毎月4~5万円取り崩し続け、うっかり長生きしてしまったら、お金が足らずどうにもなりません。

毎月4~5万円くらいであれば、中古の不動産や高配当が付く株式などを持って家賃や配当を得ることでカバーすることが可能です。もしそれらを持つことができなければ、キツいですが、ふたりで2~3万円分ずつ働くという選択肢もあります。仕事は選べないと思いますが、一応生きていくことは可能です。

死ぬまで人生きつかった(働きづめで)…とならないためにも、現役のころから働く以外の手段でお金を稼げるようにしておくのがおすすめですが、何にしても、「現金で65歳までに2,000万円積み上げなくては」と思う必要などありません。

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