いまの社会からは毎年の昇給や終身雇用といったものは消え掛かり、さらに四十を超えればクビになるのも当たり前となりつつあるので、収入自体と貯えを増やすには、普通に働いてお金を得る以外のこともしないと難しいわけですが、
その一方で、若いときから準備するからこそそんな無理にリスクを取るようなことはしなくてもよいという意見もあります。
なので今回は、その意見の妥当性について検証してみたいと思います。
どうしてもリスクゼロがいいなら、働く+貯金で
どんな投資対象にもリスクはあります。
今のところ主に個別株や中古の不動産や既存のウェブサイトや暗号資産などに投資をしています。
株式は経済情勢次第で価格が上げ下げするし、配当も業績次第です。不動産は、入居者が付かなければ家賃が入りません。比較的長めに住んでくれる戸建てでも10年に一度くらいは入退去とそれに伴うリフォームなども発生します。それぞれ利回りが3~5%、10%~20%と高くて、サイトについては短期でしか勝負できなさそうなキーサードで勝負するものであれば寿命が短めな分、表面的には年利100%のものもありますが、元本割れなどのリスクも当然それぞれの利回りに比例して高くなります。
これら以外のあらゆるものについても、同じように必ず何らかのリスクはあります。
こういったリスクは、実需がどれくらい堅いか+財務状況を見る、立地や状態のいいものを選定する、長く戦えるキーワードで勝負するものを買う等で、かなり減らすことができますが、それでもリスクがどうしてもイヤだという場合は、無理にする必要など全くありません。
働く+貯金する、で行けばいいのです。
働く+貯金 だけのほうがリスクが高い ⇒クビで全てが狂う
ただし、勤め先の経営状態が悪くなって職場をクビになれば唯一の収入源が断たれて生活ができなくなる可能性があり、インフレになれば預けた現金の価値が落ちます。なので実は「働く+貯金する」だけに行くこと自体のほうが、もっと高リスクです。しかも大きな経済危機は、わりと頻繁に起こります。
今回のコロナ禍のような事態が起きると、勤め人はいつクビになるか分からず実際既に多くの人が解雇されていたりします。貯蓄で乗り越えようにも自体が長く続いたらいつまで持ちこたえられるかは分かりません。リーマンショックの時とは異なり、いまは生活に必要な機能しか動いていない状況のため、再就職=収入源の確保もできない状態です。事態の終息後に何とか再就職できたとしても、まずは何年もかけてまた次の危機に備えてお金を貯め直すところからの再出発です。
「リスクを取りたくない、元金を失いたくない」というのであれば、そもそも投資をするべきではありませんが、それでも何かに投資をしたいという場合は、国内外の国債中心のファンドにでも資金を積み立てて、預金に毛が生えた程度の低い利回りで満足するしかありません。
実はこの利回りが低い比較的安全とされるものであっても、「プロに任せて安心」のはずなのに、コロナショックのような事態になれば、基準価額は思い切り下がります。株や不動産やデジタル資産は危険だというFPたちが代わりに勧めたがるこうしたファンドも立派なリスク商品です。
幻冬舎GOLD ONLINEの「投資の常識「若いうちはリスクを取れる」に対する壮大な誤解」(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200408-00026381-gonline-bus_all)の筆者によると、若い世代の人が今から投資をして老後に備えるのであれば、リスク商品に手を出す必要はなく、投資対象が利回りの低い=稼ぎの悪い安全なものであっても老後への十分に準備は間に合うそうです。
ですが、それなりの大きさの塊として作った現金だとしても、お金はお金。
一度使ったら無くなります。
歳を取ってから、生活のために取り崩し続け、自分の手持ちがだんだんと減っていくのを見たら、どう思うでしょうか。
たぶん心細くなり、自分はあとどれくらい生きられるだろうかと不安を感じると思います。
それなのに、記事によると投資をすべきではないという理由として、
もし若い頃にリスクを取り過ぎて大きな損失を抱えてしまった場合は、「残り少なくなった時間でさらにリスクをとって高い利回りのものに投資しなければならない」とあります。
ですが、そんなことをする必要はありません。
なぜなら、そもそも現金の塊を作ることに固執する必要がないからです。
記事中では、もし老後2,000万円問題を真に受けて、この金額通りにあるいはもっと安心を得るために3,000万円を現金の塊として持っておきたい場合な、とありますが(⇒結局、金額を増やしても絶対に安心は得られません。その理由については後述します)、
これはつまりこの現金の塊を少しずつ取り崩して生きるという発想なので、代わりに定期的にお金を稼いでくれるものを持てば、そんな大きな現金の塊など作る必要がありません。さすがに貯蓄ゼロというわけにはいきませんが。
でも投資が怖いのは分かる
歳を取ると、投資に限らず何か新しいことを始めにくくなります。ことお金に関しては、「リスク」と聞くとお金を失う恐怖だけを感じて足がすくむようです。若い時のように、「最悪自分が職を選ばずなんでもいいからとにかく働いて何とかする」ができない分、これは仕方がないのかもしれません。
そこで、投資が怖い・元金が減ったら怖いという人のために、それほど心配しなくてもいいという例を一つ挙げると、
例えばですが、今持っている継いだアパートなどは築30年です。祖父がつぎ込んだ初期投資分はとっくに回収を終えていて、そこからの十数年分の家賃の上がりからメンテ費用を差し引いた分は全て儲けということになります。築年数が経っているため、今は建物自体にはもう価値がないと見られてしまいますが、現在の市場価値とは関係なく今でも満室で家賃を生んでくれています。すでに資金の回収も終えてそれでもなお稼ぎ続けていてくれているので、建物の価値がなくなっていようが何ら問題ありません。しかも無価値とは言っても土地は売れます。個別株やウェブサイトなどについても同じです。価値が落ちてもずっと配当や広告料などの稼ぎを生み続けてくれれば、生活はしていけるので問題ないはずです。
リスクがあるとはいっても、投資を若い時から始めれば、多少失敗をしても、そこから学ぶことができて、次から上手くやれる可能性がグンと上がります。若いうちに始めるからこそ、経験を積んで同じ失敗を繰り返さないことによって、最終的に利益を得るところにまでたどり着ける可能性が高くなります。
投資対象をしっかり選べば、今回のコロナ禍のような事態が起きても上がりはなかなか減りません。
「働いて給料をもらう」はそうはいきません。個人の力ではどうにもならない突風が吹けば、簡単に飛びます。それ一本に掛けることは、リスクゼロではありません。