危機というのは時として大きな変革をもたらすものらしいのですが、これまでもたしかに大きな危機が起こるたびに長年放って置かれていた不具合や非効率なことが解消されるきっかけにはなっているので、今回のコロナ禍もそうなりそうです。
わりと身近なところでは子供にとっては新学期の始まりが4月⇒9月へと変わるかもしれないところまで行ったのですが、大人にとっては雇用のあり方に関してでしょうか。デスクワークの場合、遠隔でしか業務をこなせない状況になってしまったので、誰が必要で誰がいなくても困らないのかが、わりとはっきりと出てしまいます。今まであまり合理的ではなかった長く居るほど偉くなる的な部分なども削られていくことになるでしょう。
働かないと切られる
たぶんまた10年前と似たような光景を見ることになるのかもしれません。前回とちがって今度は物理的な動きに制約がある分、再就職は遅れるでしょうからもっと深刻なことになるかもしれませんね。
現代ビジネスの「コロナショックで、日本人の給料はいよいよ「二極化」する」によると、コロナ禍が起きる前からすでに日本の企業内には、実質やる仕事がない人たちが全社員の中の約1割、数にして実に400万人もいるそうです。
そうすると、テレワークの環境が整っていたとしてもそもそもやる仕事がないので、勤め先自体が苦しいとなると、そう長くは置いてもらえないでしょうから、しばらくしたらそういう人たちが出されるのがニュースになりそうです。
ただ、そうした事態になっても、人手不足が続いている業界はあるため、日本ではアメリカのような大量失業は発生しにくいと筆者は見ているようです。ですがこのところ求人倍率も下がってきているので、もともと人手不足だった業界でも、基本的には若くて動きのいい人材から先に雇いたいはずです。
デスクワークをやっていた人が、上手き切り替えて運送や介護などの仕事にすぐ就ければいいですが、今まであまり働かなくてもいい給料が得られていたとしたら、いきなりキツい仕事内容でしかも給料も半分以下で働けとなると、変なプライドもあるだろうし中々納得しづらいでしょう。なのでしばらくは、同じような仕事があるわけもないのにそれでも前職に近いものを探し続けてさまよう人であふれかえりそうな気もします。
いつまでも収入ゼロでは居られないので最後には仕方なく受け入れるしかありませんから、結果的に皆何かの職に就くことで落ち着くかもしれませんが、そうなるまでには何年も掛かりそうです。
こうした状況は中間管理職にとって特に厳しいかもとありますが、全員が危ないわけではないと思います。テレワークになっても繋ぎや纏め役は必要だし以前よりはやらなければならないことも増えているので、上手くこなせる人であれば残れる可能性はあります。実務をやる人たちのほうが、在宅になってもやらなければならない業務はあるので残されやすい傾向はありますが、勤め先自体がグラついたら部署ごと吹っ飛んでしまうことはあるので、ポジションの数が絞られたり危なくなってしまうのは管理職とそう大きくは変わりません。
定期的な無条件の昇給なども無くなる
もう一つの大きな変化として、今まで慣行となっていた定期的な一斉の昇給や昇進などがなくなって、幹部として上がっていく人と現場で専門職を続ける人とに明確に分かれていくというのはその通りだと思います。
これを機にいっそのこと一度全部崩れてしまいあまり働かない人が威張り高給を得るようなことがなくなるきっかけになってほしいと期待する声は多いので、全体的にはこうした変化は前向きなものとして捉えられているようにも見えます。
歳を取るのが偉いといった価値観を持っていた人や自分も絶えればそうなれると思っていた人たちにとっては、ついに辛い時代が来てしまったのかもしれません。でも記事中にもありましたが、若くても油断はできません。世の中全体が苦しいと、使えないと分かれば切られてしまうのは、歳が上の人たちと変わりません。
働く道を進み続けるかぎりは、勤め先に何かを提供できるように常に自分を磨き続けないとなりませんが、歳を取るごとにそれはきつくなっていきます。今回のコロナ禍がもたらす大きな変化で、長期的には働き手が現役でいられる期間は短くなると思われるので、働く以外の方法でお金を稼ぐ道も早めに探っておくことが大事です。