オフィス街には、清掃業務・警備・メンテなどを担っている多くの高齢者の人たちが通勤しています。見たところ70代後半と言う方も多く見かけます。
最近のいくつかの意識調査で、ほとんどの人は老後の生活費の不足分を働くことでおぎなう予定でいる/もしくはすでにそうしていると出ていましたが、こういう光景を見ると、それが現実であるとよく分かります。
確かにこうしてアルバイトをすれば何とか毎月の生活費不足分は確かにおぎなえそうですが、足(膝?)を痛めている人も多く毎朝かなりきつそうです。
どうやら本当に、投資をしなければ少なくとも健康寿命が尽きるまでは働き続けないと生きられない世の中になってしまったようです。
何とか働いて生き続けることは可能ながらもとにかくキツい
お金の情報サイト「まねーぶ」が行った老後生活意識調査によると、調査に応じた9割以上の人が年金や貯えだけでは足りないので、老後は働く予定と回答しています(「定年後に関する意識調査 年金や貯金じゃ足りないので働く⁉」(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200309-00000001-ovo-life))。
元となる調査結果(https://www.money-book.jp/money-research11)を詳しく見てみると、彼らが受け取れる年金の毎月の見込み額は平均で11.9万円・中央値は11万円、それに対して毎月の支出額平均は16.3万円・中央値15万円なので、毎月の生活費不足分は約4~5万円となります。この額は知るぽると等の別の調査結果ともほぼ同じ額なので、毎月の不足額は大体これくらいと考えて良いでしょう。
ただ、現時点で貯えは全くない~100万円未満と言う人が36%もいることから、「なぜ定年後も働く必要があると思いますか?」という項目に対し、一応は3位に「健康(身体・頭・心)維持のため」とありますが、実際には趣味的に選んで働く余裕のあるような人はほぼいないと思ってよいでしょう。ほとんどの人は、他に収入を得る方法が何もない+貯えも無いので、働かざるえない状況にあるようです。
また、早朝の交通機関で通勤する彼らを見ると分かりますが、彼らのほとんどがあまり給料が高くない仕事に就いています。人手不足とはいっても、65歳以上でオフィスワークを希望しても多くの場合それが叶わない現実も見えてきます。誰かがやってくれないと回らないのに、きつくて安いので、こういう仕事の求人案件なら多いそうです。
40代の収入を基準に目一杯のローンを組み、あまりに残債が多すぎて退職金を使っても完済できず定年後にも住宅ローンが残る人たちはどうするつもりなのでしょうか。
以前オフィスの清掃に来ていた高齢女性によると、高齢になると膝は慢性的に痛むらしく同僚もほとんど同じ症状を抱え、それでも足が動く間は何とか働き続ける予定と言っていました。その後はどうするかまで詳しくは聞けませんでしたが、おそらくは年金の範囲内にまで生活費を落としてやっていくしかなさそうでした。
アルバイトの代わりに
月4~5万円は何とか毎週3~4日の勤務でも稼ぐことは出来そうですが、かなりの高齢になってからの身体を使っての仕事は、適度な健康維持どころか逆に少しずつ寿命を削っているような印象も受けます。
あまり考えたくはありませんが、最期にはずっと働き詰めで辛い人生だったという思いしか残らないようにも見えます。
ですが、この額であれば、自分が働く代わりに何とか中古の戸建てなどの不動産1~2件あれば家賃を得てカバーすることも可能です。昨年流行った「2,000万円」は無いけれど、何とかその半分くらいなら準備できるという人であれば、高配当の株式などでも毎月のこの不足分をほとんどカバーできます。
できれば現役の間にそういったものを増やしておいた方が、老後に少しでも余裕を持てます。先にお金を生んでくれる資産を持ちつつ働けば、もらう給料はほんのちょっとした贅沢に使うかあるいはいざという時のために取っておくこともできます。
ここでも以前、50歳から老後に備える方法を紹介しましたが(⇒「51歳からでも老後に備えられる」)、お金を稼ぐ手段として、働く以外の方法にもぜひ目を向けてもらえればと思います。