教育格差が所得格差につながるとよくいわれていますが、それほど心配する必要はありません。ひとたび深刻な経済危機が起きれば、学があろうがなかろうが、働く人は等しく簡単に吹き飛ぶし、機械に代替される仕事も増え続けているので、「たくさんお勉強をして、いい仕事に就き、いいお給料を…」がなかなか実現できなくなりました。
いいか悪いかは別として森永氏の著書通りに年収300万円台時代は到来してしまったので、最終的には受けた教育に関係なく皆低いところで平等に落ち着くと見ています。多くの人が年収100~300万円台となれば、その差は投資で簡単に埋められます。
親の収入や地域差は確かに学力には影響するようだが
文集オンラインの「子どもの人生は「生まれた家庭と地域」で決まる…日本の”教育格差”の厳しすぎるリアル」(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200329-00036893-bunshun-soci)によると、親の経済力や生まれた場所が、子どもの学力にも影響を及ぼすとありますが、学力だけを見ればそうなのかもしれません。
親に収入があれば子供のお勉強にはお金を掛けられるので、そうなるはずです。地域差についても、競合する子供の数やタイプ等によって環境が変わるので、当然差が出るでしょう。
ですが、それは「学力だけを見れば」です。
将来の稼ぎについては別です。
昨年9月にも触れた通り、社会保障加入者を対象とした調査結果では、調査に応じた約半数の人が月収24万円以下とあるとおり、年収300万円台はごく当たり前のレベルとなっています。
実際に地方に視察に行く際に現地の大卒の社員さんたちとお話しすると、40代でも年収は400万円に届いてはいない人は多く、稼ぎが大きくなくても生きていける地域事情もあるかもしれませんが、大学へ行ったからといって経済的に豊かに暮らせるわけではなさそうです。地方だけでなく、都市部で働く人たちもそうなっているので、「学力で人と差をつける」のは確実に難しくなっています。
経済危機や機械の台頭の影響
今回のコロナ禍のような事態が起きれば、学があろうがなかろうが、働く人は苦しくなります。勤め先がつぶれれば、収入が断たれて生活ができません。
学歴があっても、経済危機は乗り越えられられません。
ロボットやAI技術の発展も、学力・学歴の価値を下げました。
今まで「頭脳労働」とか呼ばれていたものの多くは機械に代替されてしまっています。そうした流れによって昨年くらいから多くの企業で大量解雇が始まりました。
せっかくたくさんお勉強したのに、詰め込んだ知識を企業が高く買ってくれません。
今まで働き手の中でも高給を得ていた人の多くは、こうした流れに危機感を持ちつつ、批判的に見ているようです。この流れが続けば、自分たちもコスパが悪いと見られていつ解雇されるか分かりません。
加えて彼らの多くは、自分たちの子供たちも同じルートに進ませる準備をしていました。お金を掛けて塾に行かせ、オジュケンをさせて学費を払い私立校に通わせて…と自分と同じ道を歩ませてやるべく、かなりの金額をつぎ込んでいるわけですが、その出費がムダになると困るので、「人を大事にしない(=学力を評価しない)今の世の中は間違っている!」と必死です。
他の道には進んだことがなく知らないので、違う道があることを子どもに教えてあげることもできません。
しかも今は40代以上の働き手の大量整理も始まっているので、持たされた学力で稼げる年数も短くなってしまいました。
学力ではなく、原資とそれを使う知恵が大事
大卒の正規雇用で年収300万円台、非正規雇用で200万円台、パートやアルバイトで100万円台、勤め続けても給料が上がらないのはごく当たり前となると、学力・学歴を持たてあげるために大金を使うのはあまり良い戦略とは言えません。
「働く」だけを見ると希望は額があろうがなかろうが何の希望もなさそうですが、それ以外の方法にも目を向ければ、おそらく中学卒業後に働き始めたとしても、経済的にある程度豊かにやっていけるチャンスはあります。
例えば16歳からどこかに就職し、職場には親元から通い毎月3万円でよいので貯金するとします。6年経てば、22歳の時点で約200万円位の資金が溜まってるはずなので、それを使い、どこかに中古の戸建てなどの不動産を買うとします。
その不動産を賃貸に出せば手取りで毎月3万円以上は稼げるので、その家賃の上りも毎月の給料からの貯金と共に貯め続けるとします。すると今度は3年後の25歳の時点でまた次の不動産が買えます。
同じようにその不動産を賃貸に出し、毎月の貯金も継続すれば、2件の不動産からの家賃+貯金で、今度は約1年半~2年でまた次の不動産が買えます。買った不動産をまた同じように賃貸に出せば、家賃の上りがまた増えます。この時点でまだ27歳くらいでしょうか。
少しは現金に近いものを持ちたいと思ったら、今度は高配当が付く株式を買ってもいいかもしれません。以前も何度か触れましたが、4~5%の配当が付く銘柄に240~300万円位の資金を投入すれば、ある程度流動性も確保しつつ、毎月1万円の配当が得られます。
30手前くらいの時点で既に社会に出てから十数年経っているので、仕事に関してはすでにベテランの域に達していて、勤める先によっては給料も少しは増えているかもしれません。
こうして毎月10万円以上の副収入があれば、もし給料が全く上がっていなかったとしても、それでも問題はありません。収入の合計はここまで順調に増えているからです。もらっている給料分を無理せずに働けばよいだけです。
このまま投資を続けていけば、学力・学歴を持っている人も簡単に追い越せます。
ここまで、学歴も昇給も全然必要とされていません。
学力や学歴や学校に誇りを持っている人にとっては災難ですが、ただの雇われた働き手のままで居るかぎりは、教育レベルには関係なく大体低いところで皆平等ということで、どれだけ自分で考え動けるかが試されるフェアでいい時代が来たとも言えます。