Augurとは、予測市場の世界での取引を目的とした暗号資産です。予測市場とは、ある出来事がその先にどう変化していくかを予想し、その結果によって利益を得られる市場のことで、カジノや、ブックメーカーによるスポーツの勝敗予想はリアルマネーを使っての予測市場と言えます。つまり予測市場とは、ギャンブルと同じ意味と言えます。ギャンブルの仕組みを利用して開発されたのが、Augurという暗号資産です。
Augurの仕組みと成り立ちを解説!日本国内での利用は可能?
これまでの予測市場では、胴元という市場を取り仕切る人間が必ず得をする仕組みになっていて、参加者は長期的な目線で見ると必ず損をするというマイナス要素がありました。そこで、もっと公正な場での予測市場の取引をしたいという理念のもとに開発されたのがAugur(オーガー)という暗号資産です。Augurは占い師、予言という意味を持ち、まさにぴったりのネーミングです。
Augurは従来の中央集権型の市場ではなく、イーサリアムのブロックチェーン上で構築された、胴元がいない分散型のプラットフォームです。イーサリアムとは、スマートコントラクト(契約、履行の自動化)を実現するために2013年に開発されたネットワーク上のプラットフォームです。その特徴は、参加の自由度と公正さで、ネットができれば誰でも参加でき、参加者自らお題を立ち上げることもできます。そのお題もなかなかユニークなものが多く、
・Appleが折り畳み型iPhoneを発表するのはいつになるか
・今ハリケーンシーズンにカテゴリー4以上のハリケーンがフロリダの海岸に上陸するだろうか
・エリザベス女王2世が亡くなるのは2019年末より前か後か
など政治、経済、気象など幅広いジャンルの中から参加者が面白いテーマを提案していきます。この予測テーマの内容を見て楽しむのも面白いかも知れませんね。また、参加者たちが自ら結果を判断し、レポーターと呼ばれる世界各地に散らばるユーザーが不正に目を光らせる仕組みでフェアトレードを実現しています。結果の認定やオッズの計算、配当の割り当てなどはスマートコントラクトを利用することで全て自動化されます。
Augurを発展させたのが「Jack Peterson」と「Joey Krug」の二人で、現在も運営に関わる重要人物です。特にJack Peterson氏はAugurの開発者でありネットワーク関連の起業家としてもよく知られ、多くの論文を発表し博士号も取得しています。そのような人物がトップにいることでAugurはより信頼度を高めることができました。Joey Krug氏は他にも暗号資産やブロックチェーンを運営する、まさにその道のプロです。また、イーサリアムの開発者として世界的に有名なVitalik Buterin氏がAugurのサポーターに就任しています。彼は20歳でイーサリアムを開発し暗号資産の仕組みそのものに深く関わってきた人物です。そんな大物がサポーターを務めるということは、それだけ大きな将来性と期待があるということほかなりません。今後彼がどのようにしてAugurと関わっていくか目が離せません。
Augurの計画は2014年10月頃からスタートし、翌年5月にはアルファ版が、2016年3月にはベータ版を一般公開することができました。その後2016年10月に正式にリリースされ、あっという間に世界中に広まっていきました。名の知れた様々な大企業と提携関係を結び、早くから信頼性の構築に力を入れたことが、Augurが広く認知された要因のひとつと言えるでしょう。賭け事を行うというプラットフォームの特性上、利用者からの信頼性の獲得は重要な課題となります。その点に早くから目を付けていたのはさすがですね。
日本でAugur利用する方法ですが、以前はコインチェックでも取り扱っていたのですが、現在は撤退してしまいました。なので2019年3月現在、国内の取引所からは利用できません。ですが、Augurベータ版のサイトにアクセスすることで日本国内からも取引可能です。英語版なのでややハードルが上がりますが、こちらでユーザー登録を行えば取引に参加するだけでなく、取引のお題を作成することもできます。
Augurの現在の状況と、気になる今後の動向!
暗号資産の時価総額や順位を集計するCoinMarketCapによると、2019年3月現在のAugurの時価総額は約183億円で、順位は37位です。また、Augurの通貨単位はREP(Reputation=評判)で、現在1REPあたり約1600円で取引されています。変動の波が大きな仮想通貨の世界で今日まで生き残ってきたことで今後はさらに信頼感を増していくのではないでしょうか。
Augurのシステムは今後、保険業界に利用できるのではないかとも言われています。保険は、自分がこの先怪我や病気をするだろうかという予測に対してお金を払い、配当金をもらうという仕組みで、実は賭け事と考え方がよく似ています。そのため、保険のシステムにAugurを導入することで胴元がいない分散型のフェアトレードが実現できますし、スマートコントラクトを利用することで人件費が減り、その分保険料の値下げといったメリットが生まれることも考えられます。
Augurは社会貢献の可能性を秘めた将来性のある暗号資産
胴元による仲介を必要とせず、参加者自らがその結果を判定することで公正かつ無駄のない取引を実現するという仕組みは、社会実験のひとつとしても評価されています。そのような背景から、Augurというプラットフォームはギャンブルにとどまらず、様々な形で人々の生活に変化をもたらす将来性を持った暗号資産と言えるのではないでしょうか。