デジタル通貨

Factomの仮想通貨としての応用とは?

ビットコインの注目すべき技術にブロックチェーン技術があります。これは通貨と取引履歴等の記録を紐づけたもので、過去から現在へ鎖のようにしてつながっているように見えるためにその名がつけられました。Factomはその技術を用いて作られたもので、仮想通貨や土地の登記簿などを含む様々なデータを分散的に管理する目的で考案され、世界から注目されています。そのFactomについて詳しく解説していきましょう。

Factomの成り立ちと特徴について

2015年に公開されたFactomは、先に述べた通りビットコインのブロックチェーン技術を用いて考案された技術の1つです。Factomそのものはビットコインなどのような仮想通貨ではなく、ネット上の電子的なデータを記録するための基盤、プラットフォームと呼ばれるものです。Factomはこの技術を用いて、例えば証券証書、土地登記簿、貸付記録そして保険証券などのあらゆる重要な書類や記録をブロックチェーン上に管理する目的で考案されました。

Factomの注目すべき大きな点は、それら重要書類をブロックチェーン上で管理するところです。それら重要書類などの情報は、例えば日本では行政当局や関係部署にて厳密に一元管理されています。これら大量の書類や記録の電子データ管理には膨大な手間とコストがかかる上、万が一サーバ障害でも発生すると大変なトラブルになりかねません。一方、Factomであればそれらのデータ管理をインターネット上で分散的に行うことができるため、安全で安価に管理保存できる大きな特長があるのです。なお、このFactomプラットフォームを利用した仮想通貨は、Factoid(ファクトイド)FCTと言う名称で取引されています。

Factomの現状と今後

先述したFactomの特長に目をつけ、アメリカで「ファクトムハーモニー」なる大規模なプロジェクトが動き始めています。これは、アメリカでの住宅ローン市場をFactomでパッケージ化しようという取り組みです。その市場価値は約1兆5千億ドル。日本円で約160兆円もの規模です。日本でも同様に、住宅ローンでは不動産会社や金融機関、行政など様々な第三者機関が介在しています。これらの間でやりとりされるドキュメントは膨大なものになり、マージンやセキュリティ面での不安、そして管理も複雑になることはすでに述べました。この情報を、「ファクトムハーモニー」で第三者機関同士共有することで、大幅なコスト削減を図ることができるという可能性があるのです。またFactomのブロックチェーン技術によりそれらの情報は改ざんできないため、「ファクトムハーモニー」で共有されたデータそのものが記録と存在になるので、第三者機関の介在が必要なくなるかもしれません。これは仮想通貨でも言えることです。

もう1つの大規模プロジェクトに、「Dloc by SMARTRAC」があります。これはSMARTRACなる企業とで共同開発を進めているもので、Factomを活用して個人情報を管理しようというものです。例として病院の場合、カルテには氏名、性別、住所、アレルギー情報などの個人情報が多く登録されています。この情報を「Dlocステッカー」というものに取り込みQRコードなどのように読み込んで使用すれば、病院を始めとした多くの医療機関で共有できる取り組みです。当然ながら、個人情報が大量に記録されているので取り扱いには十分注意を払わなければなりませんが、実現すれば紹介状など紙ベースで行っていた医療機関の連携が大幅に簡素化されることは明白です。

このようにメリットばかりを挙げていますが、仮想通貨Factoid(ファクトイド)FCTとしてのデメリットはいくつか挙げられます。FactomはFactom Inc.と言う企業で運営されています。Factoid(ファクトイド)FCTはFactom Inc.が新規発行し運営されていますが、この発行上限が存在しません。そのため仮想通貨市場に大量のFCTが出回ってしまった場合はインフレーションを起こして暴落する危険があります。さらに突き詰めると、万が一Factom Inc.が経営破綻してしまった場合、FCTは無価値となってしまいます。但し、別の言い方をすれば、Factom Inc.が有能であればFCT市場も伸び続けるという見方もできます。そしてもう1つのデメリットが、FCTに対応しているウォレットが少ない事です。専用ハードウェアウォレットはFactom Inc.が提供しているものしかありませんが、これは今後、増えていく可能性はあります。

以上の通り今後のFactomとしては、「ファクトムハーモニー」や「Dloc by SMARTRAC」などの大きなプロジェクトから将来性を見込まれており、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から5000万ドルの融資を含め、様々な企業や金融市場からも期待されています。このままアメリカでのファクトムハーモニーが進み、住宅ローン市場のみならずドキュメント市場の大半を占めるほどになれば、FactomそしてFactoid(ファクトイド)FCTの未来はひと際明るいものになるはずです。

仮想通貨としてのFactomの将来性

以上の通り、Factomについて解説しました。このように、仮想通貨としてのFactoid(ファクトイド)FCTはFactomの一部にすぎません。今後のプロジェクト動向も含めたFactom技術の向上次第でFCTの動向も明暗が分かれますが、アメリカのみでなく数多くの国々がFactomの技術を活用するようになれば、FactomだけでなくFCTの価値も計り知れないものになるでしょう。

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