少し前までは勤めで得た経験や知見もある種の資産とされていましたが、AIやロボットの発達でそれらの価値が落ちてしまいました。政府は皆が70歳まで働くよう促していますが、一方で企業の側は雇いたくないという状況の中では、働くことで生きるのは難しくなっていくので、年を取るということがますます辛いことになりそうです。キャリアアドバイザーやコンサルタントたちも、労働市場に残れるように早くから準備をと警鐘を鳴らしてはいますが、それでも基本的に年を重ねた人を雇いたくないという風潮と背景自体は簡単に変わらないので、別の道も探っておく必要があります。
先細る道
AIやロボットが人間の仕事を置き換えるというのは前々から言われていることではありますが、それに加えて今は企業側も財務的にまだ余裕があるうちに40代以上の社員の整理を進めて将来の高齢者雇用の負担をなるべく減らしておこうとしているので、今までのように最後まで普通に働いて生きるという道がだんだんと先細ってきています。
キャリアコンサルタントたちのアドバイスを見ると、大体どれもその先細っている働いて生きる道に何とか残るためには…の趣旨で書かれているものがほとんどですが、道が先細っているという部分自体は何をやっても変わらないので、もし皆がアドバイス通りに準備をしておいたとしても、多くの人は通れずに残ってしまいます。
アドバイスとして具体的に有効と思われるものもせいぜい、決して偉ぶったりせずとにかく謙虚になること(=人柄が大事)・人に教えられるくらい実務を経験しておくこと、くらいしかないように見えます。
しかも、これらを実行して幸運にも再雇用されて職場に残ったとしても、年下の上司からコキ使われてメンタルをやられたり体を壊したり、与えられる仕事も機械を導入するには採算が取れない単純労働だったりとやりがいのあるものを与えられないことも多いようです。
47Newsの「「働かないオジサン」を襲うさらなる悲劇 先細る仕事、減る給与 成否分ける50代の備えとは」(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200229-00000002-yonnana-soci)によると、昨年行われた70歳定年に関する意識調査にでは、今回の通称「70歳定年法」の制定自体については、50代以上の人はたちはかなり歓迎しているようです。それはそうでしょう。
これから年金も受給額を少しずつカットされるかもしれず、人によってはすでに元から支給予定の額も足りない状況にもあるので、せめて働く場が提供されるのであればと期待はするでしょう。
ですが企業の側からすればこれは負担でしかなく、他社・他国との激しい競争の中でいキノコつためにも常に若くいる必要があるため、政府側がそういったものを課そうとすればするほどなるべく先に人を少なくしようと必死になります。
起業をするか、投資などをしてみる
先程の記事中には若手に実務を教えるような仕事であれば、需要はあるかもしれないとありますが、シニアの人すべてがそのレベルにあったとしても、そういうポジションの数自体には限りがあるので、多くの人はせっかく準備しても雇ってもらえません。
他のまったくちがう単純作業ならあるかもしれませんが…
その時のことを考えると、皆と同じ方向を目指さない方が安全かもしれません。ほかにお金を稼ぐ手段がない場合、生活ができなくなる可能性もあります。
ずっとは雇い続けてもらえないかもしれない時代だからこそ、雇われ続けてもらうための対策をもっと強化するのではなく、代わりに別の道へ進める用意しておくべきです。
機械で簡単に代替できずしかもあまり多くの人が持っていないスキルがあるのであれば、年を重ねてからでも起業独立してまだ何とかお客がつくかもしれません。基本的には誰も助けてくれないので、知名度を上げたり顧客を獲得したりする努力は全て自分で積極的にしなければなりませんが、雇われていた時よりも稼げる可能性はあります。
特にそんな稀有なスキルは持っていないという場合は、働く・独立するとはまた別の道を準備しておいたほうが良さそうです。なるべく若いうちから不動産や株式などの資産を積み上げておくと、勤め先から突然放り出された後でも、持っている額や数に応じて、家賃や配当などの上がりを得て生活費をいくらか賄うことが可能です。しかも貯金とはちがって、繰り返し何度も自分を助けてくれます。
たとえ健康であっても、総合的に優秀なスキルの持ち主であったとしても、なかなか雇ってもらえないのが今の世の中なので、その狭くなる一方の道だけを進み続けるよりも、並行して他の道も用意しておくほうが将来のためになります。