リップルは、リップル社(Ripple Inc.)の開発した分散台帳テクノロジを応用した即時決済プラットフォームです。
また外為送金ネットワークとしても機能します。
リップル・トランザクション・プロトコル(RTXP)と呼ばれる仕組みで動作するコインを持ち、一般的には仮想通貨の一種と認識されますが、厳密に言えばこれは債券に近い性質をもっています。
リップルは日本円、米ドルはもとより、あらゆる通貨を「借りがある」デジタルな債権の形でやり取りが可能になります。
日系金融機関がリップルで独自の金融ネットワーク構築を表明してから価格が上昇しています。
リップルの成り立ち
リップルの原型はもともと、カナダのRyan Fugger氏により2004年に考案された決済のためのプロトコルです。
そしてMt.Gox創業者であるJed McCaleb氏やDavid Schwats氏といったスペシャリストがリップルのシステムの一部に当たる「コンセンサス・レッジャー(Consensus Ledger)」を実装させました。
その後RippleプロトコルとConsensus Ledgerが統合され、改良に改良を加えて、現行のリップル上で使われるシステムの雛形と言える「リップル・コンセンサス・レッジャー(Ripple Consensus Ledger)となりました。
リップルのプラットフォームでは、中央サーバー的なコントロールを行うため、処理がビットコインと比べて圧倒的に高速になっており、実質で数秒~10秒程度で取引が完了します。
ただ、このシステム(中央サーバ式)があるために、一部のビットコイン・ブロックチェーン支持者からは、「非中央集権でなく、実質リップル社がコントロールできるので、これは仮想通貨ではない」と批判されることがよくあります。
リップルの通貨であるXRPの上に、各国のフィアットを乗せて、一つのリップルプラットフォームを国際的な取引が可能になります。
リップルが独自に開発した「XRP Ledger」という台帳が、ビットコインで言うブロックチェーンに当たりますが、仕組みの違いにより、ビットコインよりも圧倒的に高速な処理ができるようになっています。
これは、一般の金融機関も、海外送金で利用できる性能を持っており、銀行も従来型の送金ではなく、リップルを経由することで送金手数料などのコストを大幅に削減できます。
リップルで使われる通貨を「XRP」と呼び、一種のデジタル資産として取引が行われます。
冒頭でリップルは「債権に似ている」と書きましたが、これはリップルの「IOU」の思想からくるものです。
IOUとは英語の「I Owe You」つまり私はあなたに借りがある、という言葉を頭文字で省略したものです。
この考えがリップルの送金のベースになっています。
リップルでは、「ゲートウェイ」と呼ばれる企業が仲介で入っています。
このゲートウェイは、リップル上でIOUを発行し、「あなたから1万円預かったよ。その証文としてIOUを1万円発行するよ」とします。
このIOUは、他の人に売ることができます「このIOUがあれば、1万円分帰ってくるよ」ということで、他の人とのお金のやり取りで、「デジタル資産=このIOUを出せばゲートウェイが1万円を返してくれる」から、1万円札と同じように流通するのです。
このように、「日本円の1万円と交換できる債券だよ」ということで他人にお金のように渡すことができます。
これを、「送金」という捉え方をすれば、このIOUを友人に送るだけで、友人に一瞬で「1万円を送った」ことになります。
これが、IOUの考え方です。
※大手のゲートウェイとしては、日本国内では「Mr.Exchange」が有名でしたが、 同社は2018年3月8日に福岡財務支局から業務改善命令を受け、改善してきましたが最終的に仮想通貨交換業の申請を取り下げる方針を決定しました。
将来的に廃業することになり、このゲートウェイは使えなくなります。
リップルの現状と今後
さて、ビットコインの発行上限は2100万枚ですが、リップルの発行量は上限が999億XRPになっています。
実際の市場へのサプライは、リップル社がコントロールしており、適切な相場価格で安定するよう調整されています。
リップルはリップル社が発行しており、同社が多くを保有してホールドしています。
一つの企業の出しているトークンであるという点は、一般的な仮想通貨と異なる点です。
リップルは上記のように一般的な仮想通貨とは異なる「リップル社がすべてを動かす」ような仕組みを持っているのですが、結果的にはビジネスの世界で最も「現実の経済で使いやすい仮想通貨がXRP」になっていることは否めません。
圧倒的な取引速度、それにともなうコストの安さは、一般企業や銀行がXRPを選ぶに十分な長所であると言えます。
また、リップル嫌いの仮想通貨マニアが批判する「中央集権だ」という点も、段階的ではありますが、ファンダメンタル情報として、リップルの公式ブログなどで、将来的な非中央集権化への道筋も語られています。
将来的には、ビットコイン的な非中央集権的な仕組みがリップルにももたらされると見られます。