イーサリアム(Ethereum)は、2013年にヴィタリック・ブテリン氏が、ビットコインよりも優れた仮想通貨プラットフォーム構築しようと独自に設計を始めたものがベースのなっているプラットフォームです。
非中央集権な構造を持ち、イーサリアムの上では匿名での決済ができるようになっています。
ヴィタリック・ブテリン氏が示した構想は、協力者Gavin Wood氏の助力を得て、効率的な整理がなされました。
2014年2月にはまずC++で実装されたクライアントが発表されました。
ベータ版は2015年の「Frontier」がリリースされています。
今後のバージョンは「Homestead」、「Metropolis」、「Serenity」と続いていくと計画されています。
イーサリアムが掲げる理念
イーサリアムの目標は、それ自身が「ワールドコンピューター(World Computer)」となることで、また人が恣意的にものごとを評価しない全自動のスマート・コントラクトによる契約履行、自由にトークンを作ることができる、などのビットコインにはできないことを推し進めています。
イーサリアムの構造とビットコインのそれは大きく違いがあります。
ビットコインのブロックチェーンですが、シンプルに取引情報とわずかなメッセージのみを書き込む、決済に特化したデータ保管システムですが、一方でイーサリアムは、そのブロックチェーンの上にアプリケーションが搭載され応用範囲が非常に広くなっており、汎用性が高い設計になっています。
これは「チューリング完全」というコンピューティング・モデルの一種であり、いわばJavaに近いような汎用性を実現しているものです。
イーサリアムの性能のうちもっとも有名なのは、「スマート・コントラクト」です。
これは冷徹に条件にしたがい自動で契約執行するシステムです。
ユーザはイーサリアムのブロックチェーン上に取引契約を記述し、自動販売機のような感覚で公正に契約を執行できます。
イーサリアムにおけるスマート・コントラクトは、いままでに用いた契約内容を、イーサリアム・ネットワーク上でほぼ永久に保存が可能になっています。
消すことのできない契約内容・権利譲渡履歴が保存されるため、信用の優劣も一目瞭然となります。
公開されているブロックチェーン上にすべての契約内容が書き込まれるため、全世界でブロックチェーン上の記載内容が確認できます。
当然ながら偽造することや改ざんはほぼ不可能になっていますので、イーサリアムのスマートコントラクトは信頼性が高いシステムであると言って良いでしょう。
さて、イーサリアムで実際に取引する「コイン」にあたるものは、ETHという単位を用い、「イーサ」と呼ばれます。
イーサリアムのネットワーク・コミュニティでは、イーサの送金手数料を、「ガス(GAS)」と呼びます。
なにかを動かすエネルギーという捉え方で、燃料だと位置づけているわけです。
汎用性と引き換えに…
先に、イーサリアムはビットコインと異なり汎用性が高いと書きました。
確かにアプリケーションを載せ、柔軟に応用できる便利なプラットホームであると言えますが、しかしその汎用性はセキュリティ面から言うとビットコインよりも脆弱であると言えます。
実際に、イーサリアム上で「TEH DAO」というトークンが発行された際に、DAOに含まれていたバグが仇となってハッキング被害にあり、360万ETHほどが盗難にありました。
この問題は後にイーサリアムクラシックを産む遠因となりました。
イーサリアムの弱点は、一言で言うなら、「ブロックチェーン上に展開されたコントラクトコードに脆弱性がある場合には資産が攻撃者によって盗まれるリスクがある。」となります。
あくまでも可能性ですが。
イーサリアムの今後
イーサリアムの買いやすさ、使いやすさという点では、仮想通貨の中でもダントツに良いと言えるでしょう。
今やETHは世界中の多くの仮想通貨取引所でも上場しており、日本から海外へ送金するような場面でも非常に使いやすい仮想通貨だと言えます。
基本的に日本国内の主要取引所でも容易に購入ができるだけでなく、数ある仮想通貨の中でも歴史のあるコインの一つですので、人気が非常に高くなっています。
過去には残念ながらバグが発見されたというニュースもあります。
2018年4月下旬、「BatchOverFlow」というイーサリアムのスマート・コントラクトの小さなバグが新規に発見されました。
この影響で、イーサリアム上のトークン(ERC20トークン)に問題が出ていると指摘されています。
このバグにより、いわゆるERC20系トークンでは不具合が出る可能性が出てきましたので、至急の対応が望まれます。
一方、プラス材料としての最新イーサリアム情報は、海外金融コンサルタント会社であるdeVere Groupが予測として今後イーサリアムの価格が2018年末までにUS$2500ドルに達するだろうと発表しています。
同グループでは、今後のスマートコントラクト普及などから、イーサリアムが大きく成長すると考え、CEOのナイジェル・グリーン氏は、イーサリアムの価格は2018年度末から2020年度にかけ大きな成長をすると述べています。
理由としては現在多くの仮想通貨建て取引手段でイーサリアムを使うケースが多いことと、スマートコントラクト普及が振興していくとの考えです。
一方のビットコインについては、短期的にはあまり大きな成長が見込めないとの考えを示しています。