マネー&ライフ

51歳からでも老後に備えられる

老後2,000万円問題でパニックになりFPに助けを求める家計相談シリーズに、しっかりと状況を把握せずに心配しすぎている人の相談例がありましたので、今回はそれに触れながら、「今はどうしても貯金ができない」という状況下でも、いつもここで挙げている投資方法でで老後の備えることができそうかを検証したいと思います。

年金受給額が夫婦二人で月額23万円ならあまり心配ない

幻冬舎ONLINE GOLDのこちらの「年金受給見込み額「17万円」、老後が不安…貯金もできない」(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200216-00025531-gonline-bus_all)には、今回は大学生の子供二人を抱える51歳の男性からの相談が寄せられていますが、今現在は学費等が重なり支出を削るのは難しいので貯蓄ができない状況で、子どもたちが巣立つ頃には退職金として支給される予定の1,500万円を別にすると手持ちの資金はたったの200万円程度だけになり心配のようです。

よく読むと記事タイトルにはちとミスリーディングな部分があり、実はこの夫婦の年金の見込み額はご主人が17万円で奥さんが6万円と月額計23万円と、平均的な受給額と比較しても少し恵まれています。以前もここで触れましたが、総務省統計局の家計調査(高齢無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯))によると、60~64歳の月額の支出額平均は27万円で65歳以降は月額で23万5千円とあるので、年金の支給額があまり落ちなくて、へんに贅沢をしなければ、これで何とかなりそうです。

また、資産の保有状況についても、退職金を除いたら純粋な資金は200万円はしかない、ということは逆に言えば、一応すでに手元に200万円以上はあるため、しばらく貯蓄ができないにしても今すぐ投資をして収入を増やすことも可能な状態にあるわけです。

毎月3万円の投資用の資金を貯める代わりに

では現在手元にある資金の一部の200万円だけを早速投資に振り分けて、老後の備えることができるかを見ていきたいと思います。

まずは、すぐに使える状態のいい中古の戸建ての不動産を買うとします。購入後に最小限のリフォームを施してすぐに賃貸市場に出して入居者がつくまでに約半年掛かりますが、その後は毎月数万円の家賃が入るようになります。本当はもう少し稼げますが、簡単にするために手取りで月額3万円入ると仮定します。

仮にもしもここから6年間まだどうしても学費支払などがつづき支出が削れずに貯蓄ができないとしても、また約200万円近くの資金が溜まるので、次の中古の不動産を買うことができるので、同じプロセスを繰り返し、また家賃を得るとします。入居者付けまで入れると計7年見たほうが良いため、ここまで到達する頃には58歳になります。

この先もさらに2つの不動産からの上がりの毎月6万円をしっかり貯め続け、約2年半~3年後にまた同じように3件目の不動産を購入し賃貸市場に出すことで、年齢的にはもう延長雇用には入ってしまいますが61歳時には毎月9~10万円程度の副収入を得られるところにまで到達できます。

ここからは本当の定年まで約4年あるので、そのうちの約1年半を使ってさらにもう一つ物件を増やしておくと月額さらに3万円程度の稼ぎが増えるので安心ですが、この年齢で退職金以外に流動性のある資産が全くないというのも少し心もとないので、所有する不動産のメンテ費用発生に備えるという意味でも、この先は家賃の上がりを貯めて高配当がつく株式への投資に切り替えるのもありでたほうが良さそうです。毎年120万円分ずつ3~5%の配当がつく銘柄を選び買い付けるとすると、4年後の65歳引退時には月額1.5万円くらいの配当の上がりを期待できます。

こうして計約14年掛けて投資をすれば月額11~12万円の副収入を得るところまでたどり着けますが、ここまで到達すれば、仮にもしもですが退職金の1,500万円が支給されなかったとしても何とかなるわけです。毎月の年金受給予定額23万円と副収入を合わせれば、普通に暮らす場合の毎月の支出額を大きく上回るので、余剰金は貯蓄に回すこともできますし、物件や銘柄を探し回る気力がまだあればさらに投資に回すことだってできるのです。

このように、51歳以降にもしも給料が全く上がらなかったとしても、貯蓄ができなかったとしても手元に200万円の資金さえあれば、何とか副収入を増やして老後に備えることは可能です。

いくつか覚えておきたいこと

今回の事例では、貯蓄ができない難しい状況にありながらも手元に使える資金がいくらかあったので何とか助かりました(正確には「助かりそう」)が、投資の種となる資金も貯められないのに手持ちも全くない、となると流石にどうにもならないため、50歳時点でゼロから老後に備える場合、手元に200万円程度の資金を持つかそれができない場合は毎月3万円の貯蓄ができる状態にしておく必要があります。

また、これも当たり前ながら大切なのは、そもそも老後に備えるために投資をしているのですから、上がってくる家賃や配当には基本的に引退まで手を付けてはならず、まとまった額になるまで貯めておき、次の資産購入に回し続けなければなりません。

もう一つ、投資の順序ですが、必ずはじめに不動産の数を増やし、株式への投資は後からにしましょう。もし先に毎月3万円程度の資金を高配当株などに投資をしてしまうと、毎年約14,400円の収入増と月額にしてわずか1,200円しか稼ぎが増えず、6年後も副収入は毎月たったの7,200円とかなり少なく(福利なので本当はもう少し多いですが)、これを続けても将来の希望は全く見えてきません。

順序さえ間違えず、また、働ける間は再投資を続けていけば、51歳からでも老後に備えることは十分に可能です。

昔とちがい、今は預金には高い利子が付かず、70歳定年とは言いながらも実際にはその年まで雇ってくれるところはほとんどありません。「働く・貯める」だけで老後を生き抜くのは困難なので、お金に働いてもらうことを学ぶことが大切です。

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