どこかで放送業界は大変といった内容のものを見たので、今回はその世界にいた者なりの言い方で、業界の現状について少し触れたいと思います。
典型的なピラミッド構造
どこの業界も似たようなものとは思いますが、テレビ業界も典型的なピラミッド構造で、地上波のキー局勤めが一番平均給与が高く、下請けとして番組制作をする会社にいて実際に苦労をして映像作りに関わる現場の人たちは薄給です。
キー局の社員が千数百万円もらっているとすれば、彼らは聞いた感じではおそらく三百万円位と思われます。 制作会社幹部ならその中間くらいでしょう。
合間に仮眠をとるくらいの時間はあっても昼夜問わず何日も働くことも珍しくなく、たまに家に帰っても寝るだけ。仕上げた映像の審査のためにこちらが早朝オフィスに出勤すると、彼らは普通に編集室で寝てたりします。
出演者の都合でスケジュールが変わったり呼び出しも掛かるのでプライベートな時間はほとんど無さそうで、けっこう過酷です。
こうした経験を十年以上積んでようやく現場をひとつ任せてもらえるようですが、それでも給料が大きく増えるわけではないようなので、わりに合わない気もします。
派手なイメージにある種の憧れのようなものを抱いて入る人も多いものの、環境があまりに厳しいので担当スタッフも頻繁に替わります。
安いので新しい人員募集も難しく
辞めたスタッフの補充も大変そうです。
いまは映像を見る側にとっても何をどう見るか色んなプラットフォームの中から自分の都合に合わせて選べます。テレビの業界は自分たちが唯一の存在ではなくなってしまったので、逆風にさらされています。ネットの広告がのびる一方でテレビの方は広告収入が落ちてしまったので、番組の制作に回せるお金も少なくなりました。そうなると高いお金は出せないので、人はなかなか集まりません。
局勤めの人たちも大変で、高給の対価として長時間労働でいつでも呼び出しは掛かるのでからだを壊す人もいます。
ついでに同じマスコミ業界で同程度に激務で有名な新聞社などについても見てみると、最近は働き方改革法案の施行によって労働環境が以前よりは改善されたようですが、その代わり、同じ系列でも放送局と比べると若干給料は落ちるようです(「「年収1050万円」「報酬に不満は全くない」 マスコミ業界の「給与の満足度が高い企業ランキング」」 ( https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200210-00000077-zdn_mkt-bus_all」))。昔聞いた額と比べても少なくなった印象を受けますが、発行部数の下落なども影響していそうです。
この業界の給与の額に魅力を感じる人もいますが、同じくらい稼ぎたいのであれば、 ここでいつもおすすめしている通り投資をしたほうが体への負担は少なく、長く堅く稼げます。
このようにテレビの世界はわりと過酷で、ある程度の年齢になってから辞めたあとはなかなかそれまでの経験を他の業界で活かしにくく、全くのゼロからの再出発となってしまうので、局勤め志望でもなければあまりおすすめはしていません。 視聴率の下落に伴い広告収入も落ち続けているので、テレビもダメ・新聞もダメと、業界全体の先行きは暗めです。