一億総活躍社会とやらを推し進めるために、現在の定年年齢や年金の受給開始年齢も65歳から70歳へ引き上げが検討されているようですが、ときどき聞こえる彼らのボヤきの内容からすると、たとえ若く見える人であっても60歳以上になってから働き続けるのは体力的にもかなりキツそうです。
今の高齢者の人たちの実際の年金受給開始年齢を見てみたところ、マネーポストの「年金の繰り上げ受給を選ぶ人が多いワケ、繰り下げの20倍超」(https://headlines.yahoo.co.jp/cm/articlemain?d=20200129-00000005-moneypost-bus_all)によると、2018年のデータでは本来の受給年齢よりも繰り上げて(60~64歳の早めに)受給することを選んだ人は30%もいるそうで、なるべく多くの額を受け取るために70歳近くまで繰り下げて需給を開始した人はわずか1.5%しかいなかったとあります。
これを投資に見立てて考えると早めにもらうのは正しくないようにも見えますが、こればかりはそう動いても仕方がありません。
老後が徐々に苦しいものになってきている
記事にもある通り、昔からだれもが何十年も働いて子どもを育てて親にもある程度恩返しをして社会にそれなりに貢献してきた後には、のんびりと年金生活を送りたいと考えていたのでしょうが、徐々にその願いが叶わなくなってきています。
年金の財源確保と積立金の残額に不安が出始めてから、「今は社会全体が人手不足だし(イメージ的に)今の高齢者の人たちは60歳を過ぎても元気で若いので、年金の受給開始年齢を70歳までにさらに引き上げて、彼らにもっと働いてもらおう」的な流れになりつつありますが、企業の側は既に先手を打って40代以上の社員たちの大量解雇を進めて将来の負担増に備えているので、この流れが現実になると、将来はお金もないし(働き口がない)、体もキツいし、と言うことになりそうです。
そう考えるべきではないと知りつつもあえて投資に当てはめて考えると
現在は年金の受給開始年齢は65歳がベースですから、
⇒受給を1年前倒しにするごとに本来の受給額6%減
⇒受給を1年遅らせるごとに本来の受給額8.4%増
ということで、60歳で受け取ると実に3割も減ることになり、逆に70歳まで遅らせて4割以上上乗せで多く受給するほうが、長期で見れば、いつかは総額でそのほうが確実に得になりますが、人間はどれだけ生きられるか分かりません。
統計的には65歳くらいまではほとんどの人はその歳まではなんとか普通に生きられるとかいうデータを見たような記憶ががありますが、それ以降は早かったという人のことも聞きますし、長生きしたとか、ほぼ完全に予測不能です。
受給開始が70歳まで引き延ばされると、思いのほか余命が短ければ回収できず払い損になるし、年金制度の存続自体も不安なので(⇒これについては大丈夫そうではありますが…)、なるべく早いうちから受け取りたいという気持ちもよく分かります。
不足分を働いて埋めるのはキツい
昨年6月以来、老後2,000万円問題が騒がれたのも本当は別に新しいことではなく、以前から実はすでに例えば夫婦二人で受け取れる年金の月額平均約20万円だけでは支出の全てはまかないきれず、毎月約4万円程度は何かから埋めなければならない状況でした。
冷静に考えれば、2,000万円といってもなにも全額すぐに必要なわけではなくあくまで長期で毎月4万円×12カ月×30年近く…と合計をいっているだけなのでそんなに怖くはないのですが、額が大きいので、これだけを素直にとらえてパニックになってしまったようです。
ただ、依然と比べると確かに年金の受給額は少しずつカットされて確実に落ちてきているので、収入源は年金しかないという人にとっては特に心配になるのは理解できます。
一昔前と比べるとアルバイトなど含め働きに出ている高齢者の人の数が格段に増えていて、早朝の清掃業務の方に聞いてみると少なくとも週に3~4日働かないとこの毎月4~5万円の不足分を埋めきれないようです。
受給開始年齢がもしも引き上げられると、先程も触れたとおり特に65~70歳は体の衰えとお金の無さ(もし気力があっても仕事がない)の両方に苦しむことになり、バイトであればダブルワークでなければ生活は出来なさそうです、 70歳以降となるとあとどれだけ生きられるのかますます読みづらいくなるので、もしそのときに「繰り上げ受給」を選べるのであればそれを選択して少し減ってでも例えば65歳から早めにもらい始めて、足りない分は出来れば投資の上がりで生活するのが良さそうですね。