先月色々なサイトで知るぽると(金融広報中央委員会)の単身世帯の家計調査(「家計の金融行動に関する世論調査」[単身世帯調査] (2019年))が話題になっていたため、今回は調査結果から見えてきた実態などについて触れたいと思います。
余裕がなく大変
調査によると、割とバランスよく幅広い層から選ばれた調査対象2,500人が持つ金融資産の平均値は645万円とでたようですが、調査対象の人の中には1億円以上の資金を持つ人も20人くらいいたりして平均が押し上げられているようなので、実態に近い本当の意味での平均と見て良い中央値を見ると、1世帯(一人)当たりわずか45万円しかないとあります。
どれだけ実態に近い調査結果なのかアンケートに応じた人の収入を見てみると(18頁目)、平均の手取り額が262万円、中央値が220万円と出ていて、これらの数字を見るだけでも、たまに聞く「日本人の平均年収410~430万円」と乖離があり過ぎて、400万円って本当に「平均」なのか…と思えてしまいます。
今回の調査の概要にも書かれていますが、とにかくこの中央値を平均とみたほうが良さそうです。
この調査での金融資産の定義を見ると日々使う現金などは除く、とあるので、45万円=全財産ということではなく、あくまで投資用などの余裕資金としてはこれしか持っていないということのようです。それにしても前年から5万円下がり、先程の「平均値」も前年から見ると100万円下がっているので、ここ一年でお金持ちの人たちでさえ少し資産を減らしているようです。
この中央値45万円というのも全く余裕資金を持っていない人を含めての平均となるため、4ページ目の投資をしている人だけに限っての中央値を見ると300万円程度何かに投資をしているようです。
老後の収入源として見込んでいるもの(16頁目・複数回答可)については、公的年金が60%近く、次いで働いて何とかするが54%と前回より3%増え、配当を得るが7%で、地代家賃を得るが3%と、ほぼ年金・働くに頼るしかないようです。
調査結果に関する全体的な印象として一言でいうと、かなり少ないしこれは確かに老後が心配にもなるだろうな(15頁目)という印象です。
依然として生活費として借り入れた人ひとも一部いるようなのですが、唯一悪くなかったのは借入金については前年と比べて減っているという点で、不況や老後の備えて少し負債を減らしておこうという感じなのでしょうか。
稼いでくれる資産は必要
今回の調査で取りあえず全体的には余裕がなく苦しい人が多そうだというのは分かりましたが、中にはあまり「金融資産」には頼らないという人もいるので、この調査の結果だけを見てかなり苦しいのかもと纏めてしまうのは早すぎるかもしれません。
というのも、この調査では金融資産よりもっと安定的に高めの収入が得られる不動産やその他の資産をどれだけ持っているかまでは調べきれていません。
よく色んな調査でみんながどれだけ裕福なのかを現金に近いものだけの多い少ないだけで測ろうとしますが、持つもの全体の価値がどれくらいあってそれぞれがどれくらい生むのかを見ないと実態がつかみきれません。
実際、金融資産をそれほど持っていなくても、不動産や権利などから定期的に得られる収入が多いから年金収入が全く無くてもべつに全然困らないという人はいるので、そういった収入源さえ持っていれば、金融資産はそんなに無くても大丈夫です。
お金の塊は一度使うと無くなってしまうものなので、繰り返し使っていける/自分を助けてくれるものをより多く積み上げることを意識していきましょう。