「老後2,000万円問題」がブームの中、老後にゆとりある生活を送るには毎月36万円必要とかいう少々現実離れした数字が一人歩きしていましたが、実際のところ老後の生活費はいくらくらい掛かるものなのか本当の数字が知りたくて調べて見たところ、LIMOで具体的な数字が見つかりました(「年金だけでは「毎月5万円」足りない 老後資金なぜ貯められない?年収別の原因と対策」(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200124-00015631-toushin-bus_all.view-000))。
これによると大雑把に、60歳からの10年近くは毎月約29万円、70歳以降は毎月23万円掛かるということで、定年まで無事勤め上げて夫婦二人で年金収入が約20万円ほど入るとして、65歳からの余命を25年と仮定すると、月平均で約5万円ほど必要になるそうです。
毎月の支出の内訳
支出の細かい内訳の確認のために、いちおう数字の引用元である総務省統計局の家計調査報告(家計収支編)年平均結果の概要(PDF:685KB)(2019年5月10日掲載)を見てみると、定年後は完全に無職の場合は、月額の支出は平均して約239,934円になり、毎月の不足額が47,000円近くになります。
70歳までのまだ若いうちは動き回れるため、食費・交通費・交際費なども結構掛るようです。住居や被服にはほとんどお金は掛からない一方で、食費については外食も含めてなのか、毎月65,000円というのは結構食べてるなという印象も受けます。
毎月5万円も貯金が消えれば、何年か経つと不安になる
冒頭の記事では、この毎月の不足分5万円分の備えとして、現時点でどれくらいの年収レベルであってもまずは若いうちから無駄遣いなどを抑えて支出をしぼり、給料が入ると同時に天引きなどで最初から強制的に一定額をよける形で貯金するように推奨されていますが、もちろんこれらは有効ではあるものの、単純にお金を貯めておくだけでは不安はなくなってはくれません。
というのも、ある程度まとまった額の現金を貯められたとしても、それしか持っていない場合は、その貯金を取り崩して不足分を埋め続けることになり、もし予想外に長生きしてしまったら確実に現金は足りなくなるし、歳を取ってからいつ尽きるかもわからない残り少ない現金を見ればとても不安になるはずです。
ではどう補うのが良いか
そういった事態を防ぐには、単純に貯金をするだけでなく、長期で定期的にお金を稼いでくれる資産を持つことがより重要になってきます。
現金は一度使えば自分の手元から離れてしまいますが、例えば不動産や株式などは何度でも繰り返し家賃や配当を稼いでくれます。現金とは異なりこれらの資産は価値が日々変動しますが、それらからの家賃や配当などの稼ぎ自体は大体事前に取り決められた額/料率のままなので、どういう値動きがあったとしてもお金は入り続けるのでとりあえず安心はできます。
しかも預金よりははるかに利回りも良いため、毎月5万円分稼ぐためには2,000万円も必要ありません。不動産ならこの4分の1、株式であれば半分程度の元手で稼ぐことが可能です。
例えば中古の戸建てなどであれば、500万円あれば2棟買うことができるので、それぞれから3~4万円ずつの家賃を得られれば、不足分をカバーできて、ほんの少し何かで贅沢をすることも可能です。
代わりに高配当の株式の銘柄を幾つか選んで振り分けるとすると、もう少し資金が必要になりますが、約1,000万円あれば毎月4万円以上の配当は稼げるので、不足分を殆ど補ってくれます。
高齢者を雇用しつづける義務を負わされる前に先手を打って社員の数を減らしておこう、という動きも出てきているくらいなので、 老後の備えとしては、ずっと働き続ける・単純にお金を積み上げる、以外にもこういったやり方にもぜひ目を向けてもらえればと思います。