以前からそうですが最近特に、年金に関しては専業主婦(第3号被保険者)がいる世帯ははズルいと書かれているのをよく目にするので、本当にそうなのか調べてみましたが、片働き世帯と共働き世帯の双方の世帯年収が全く変わらないものして比較した場合、専業主婦はべつにズルくはないことが判明しました。
まず比較してみた・世帯年収が同じであれば年金受給額は変わらず
先日プレジデントオンラインの記事「「年金格差は年100万円超」老後の共働き世帯vs専業主婦世帯」(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200218-00032458-president-bus_all)では、妻が働きに出れば年金の受給額を増やせる的な書かれ方がされていましたが、これは世帯年収500万円のサラリーマン+専業主婦と年収1,000万円の共働き世帯を比べてしまっているので、あまり参考になりません。
しかもこの記事にもある通り、逆に言えば、配偶者が働きに出て世帯年収が倍になったとしても年金は毎年100万円しか増やせない、ということでもあります。
また、この額であれば、べつに働き手を増やさなくても、いつもここで提唱しているやり方で副収入を増やせばそれだけで間に合いそうです。
そこで、
まず、サラリーマン+専業主婦世帯と共働き世帯では、将来の年金受給額が変わるのかどうかを調べて見たところ、かなり古い表ですが、週刊朝日の「世代別 収入別 夫婦の年金 一発早見表」をみると、例えば世帯年収800万円のサラリーマン+専業主婦世帯と共働き世帯を比較すると、毎月の年金受給額は27.9万円と同じで、世帯年収900万円でそれぞれを見ても29.8万円ずつと同じで、世帯年収が双方とも同じであれば夫婦が受け取る年金の額は変わりません。
平成15年に計算式が変わったようなので他のサイトもいくつか見たところ、世帯年収1,000万円でも夫婦としての受給額はそれほど変わらないようです(標準月額報酬の上限62万円×40年間とすると、毎年の厚生年金約160万円+国民年金約80万円+妻が受け取る国民年金等)。
こういったことから、専業主婦はあたかも保険料も全く負担もせずに年金をもらっているかのように見えてしまうようです。
あまり知られていない実情
ところがです。
サラリーマン+専業主婦世帯と共働き世帯の税金や社会保険料の負担額という観点から比較してみたらどうなるでしょう。
扶養家族がいても税額・保険料支払いが重いのでおそらくそうだろうと思っていたらやはりその通りで、昨年のBUSINESS INSIDERの記事(「世帯年収1000万円なら片働きと500万ずつの共働き、どちらがトク?」(https://www.businessinsider.jp/post-195303))によると、年収1,000万円のサラリーマンと世帯年収1,000万円の共働き夫婦の税金と社会保険料の負担額を比較すると、実に50万円以上も差が付き、共働き夫婦のほうが一人ずつの年収が低い分、安く済んでいます。
この差は年収が多ければ累進課税が重くなることで発生します。
つまりは専業主婦の妻が払うべき税金・保険料等はすでに夫が負担していることになりますが、専業主婦はズルいという人は、このあたりをどう考えているか聞いてみたいところです。
サラリーマン+専業主婦世帯の側としても、自分たちとは無縁の保育所増設などにお金が使われていることに関しては我慢している部分もあります。でもこういったことはお互い様の部分があるので、ある程度黙認しあうしかないようにも思います。
毎年払っている法人税についても一体何に使っているのかと思うことはあっても、自分もいつかはお世話になるかもしれない見えにくいもの・インフラの整備・維持・すでに間接的に世話になっているものなどにも使われていたりするし、 皆が色々言い合い始めると収拾がつかなくなるので、やめておいたほうが良さそうです。