マイホームを持つのが夢というのは何となく分かります。でも銀行など金融機関の抵当が付いているということはその家はまだ自分のものではなくて、他人のものに住んでいるのと同じようなものです。しかも45歳定年が定着しつつある状況の中で、35年ローンで定年後も払い続けるのが当たり前のようなプランを組んで家を買うのは、かなりリスクがありそうなのですが…。
40歳前後でローンを組むのは普通なのかもしれないけど
マネーポストに寄せられていた家計相談(「夫79歳まで続く住宅ローン、妻の「育児に専念」が難しい理由」(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191217-00010003-moneyplus-bus_all))が目に留まったので、今回はその例を参考に長期のローンのリスクについて検証すると、相談者夫婦は40代半ばで世帯収入33万円・賞与年80万に対し毎月の支出が30万円と、家計は堅いものの負債総額が3,000万円と大きく、返済は79歳まで続くとあります。
記事へのコメントにもある通りで、組む方も組む方で貸すほうも貸す方という感じで、よくまあここまでリスクの大きそうなプランを組めるなとある意味その勇気に感心してしまうところもあり、奥さんもこの状況下で子育てに専念したいとのんきさにも驚かされます。
ローンを組むということは基本的に、物事が全て順当に進むことを前提に、ということでプランが建てられているのだと思いますが、今の世の中の動きを見るとなかなかそうは行かなさそうです。
まず、ここでも何度か触れましたが、中小企業への波及はまだこれからかもしれませんが「45歳定年」という流れが徐々に定着しつつあるので、将来の収入の予測が大きく外れる可能性が高くなってきています。加えて、政府の高齢者雇用促進の動きに反して、実際に60代後半以降も雇ってくれるという企業は全体の約11%くらいしかないようなので、働き続けて返すというのも当てにならない部分があります。
既に組んでしまったものは仕方ないので何とかするしかありませんが、記事中FPも言う通りこの状況下では奥さんが復職して少しでも完済を早めるしかなさそうです。働き手の数自体が増えても一家の破綻リスクはあまり減りませんが(「雇われる」は不安定なので)、それでも収入は少しでも増えて助かるはずです。
破綻の可能性についても調べて見ると
度々聞くローン破綻についても少し調べて見ると、LIMOに具体的な数字が載っていて、住宅ローンの貸出残高は国合計で約180兆円と毎年の国家予算約100兆円と比較しても1.8倍と巨額で、実際の破綻率は3%で自動車ローンの破綻率の0.4%と比較すると突出して高いレベルにあるようです(「住宅ローン破綻」増加の背景~気づいたら自宅の評価額が大幅下落していることも」(https://limo.media/articles/-/14536))。
ずいぶんリスクの高いものに平気で手を出しているようにも見えますが、無理にでも大きい買い物を、各世代である程度の数の人が繰り返してくれないと経済が回らないという部分はあるので仕方がないのかもしれません。
借金をして買った家は満足や安心をくれるでしょうが、お金は生んでくれません。教育ローンを組んだりして子どもを学校に入れても、将来雇ってもらえるか・お金を生んでくれるかどうかは不透明で、利率(こういう言い方が嫌いな人もいますが)も昔より下がっています。
そう考えると、同じように例えば借金をして不動産を買って貸して家賃を得たり株式を買って配当を得たりするとそのお金は自分を助けてくれるのに、それでも投資が怖いというのはなぜなのでしょう。
先を見通すのはだんだん難しくなってきているので、なるべくお金を生まないものにはお金を掛けず、お金を生んでくれるものに力を注いだほうが良さそうな気がします。