少し前のものになりますが、年金制度改革の必要性(お金持ちにもっと支払ってもらおう系)について説いた記事を目にしたので、今回はその内容について検証してみたいと思います。
だれでも一律で1万6千円強の保険料は不公平?
経済評論家・佐藤晴彦さんの記事「7年政権を維持してもぬぐえぬ、国民の「将来不安」。年金への不信はどう払拭すべきなのか?」によると、国民年金保険料は一般的に月額で約1万6千円くらいと認識されていますが、例えば高所得者の場合は、個人分の確定申告で税の還付を受けることを勘案すると、毎月のこの保険料が5,000円近くも値引きされて実質的には1万1千円程度で済んでしまうとあります。
年収200万円の人にしてみればこの毎月1万6千円は非常に重くのしかかり、一方で年収1,000万円以上稼ぐ人にしてみれば同じ保険料を支払うにしてもそれほど痛くはないということで、何となく消費税(=誰にでもほぼ一律に課せられる)に対する負担感に似たようなものあるのかもしれません。
先程の記事によると、例えば高所得者の場合はいまの倍近くの保険料を納めて初めて年収100万円くらいの人の負担感と同じになるとありますが、もらえる年金額が全く同じなのであれば、高所得者の人は納得できないでしょうから、そういった改革案の実現は難しそうです。
第1号被保険者の国民年金保険料の納付率が2018年度に約68%のみとありますが、これは厚生年金保険料を納めている人たちのことは含まずのようなので、年金制度全体に関しての未納率は32%ではないので注意が必要です。
変えても結局どこかには不公平感は残る
忘れてならない点としては、
年収200万円で年間の所得税+住民税の負担は10万円に届かないくらい、年収300万円で約16万円、年収500万円で約40万円弱、年収800万円で90万円以上、年収1,000万円で約140万円以上、年収2,000万円で約530万円ほど、年収が増えるごとに累進課税のため納税額もかなり大きくなっていきます。
もとから年収が少ないんだから払えなくても仕方ないと言われればそれまでですが、個人として年収が高い人たちは、普通の人より多くの税金を払っているので、経済的にはある程度の義務はすでに果たしているように見えます。
年収が低い人も払うことになる月額約1万6千円の国民年金保険料よりも毎月数千円の値引きを年額に換算しても、彼らが納めている税額には遠く及ばず、じゃあもらえる額が変わらないのにオレらばかりに負担をさせて、この不公平分は誰が補償してくれるんだと彼らから問われれば、おそらく返答に困るでしょう。
一般的な感覚でいうと、たくさん稼いでいる人から取ればいい的な単純発想になりがちですが、それをやってしまうと高額納税者の人たちが日本社会に嫌気がさして外に出て行ってしまいます。出て行きたいやつは出て行けばいい、という意見もあるかもしれませんが、お金を持っている人たちが事業を起こしてくれなければ働きたい人たちの活躍の場も生まれず経済も成長せず給料も増えないので、いつも「お金持ちが悪い」ばかりでは世の中全体にとってよくありません。