誰かのために働くことは経済活動への貢献になるので良いことだと思います。ですが、働き手として生きる場合、ある程度の年齢に到達すると、ひとつ歳を取るごとに、雇ってもらえずにお金が稼げなくなるリスクが高まっていきます。
先日、早期退職させられて異業種の企業に再就職せざる得なかった人についての記事(https://www.msn.com/ja-jp/money/personalfinance/年収800万の主任から、400万の工場労働に…早期退職の現実/ar-AAHa40y#page=2)を読みましたが、記事中のこの50代の会社員の方の境遇は、働き手として生きる人にとっては、だれにでも起こりうることなので、他人事ではありません。
この方は同じ会社に30年以上勤め続けて、それまでどの程度自分を高め続ける努力をし続けてきたかはわかりません。ですが、仮にもしこの人以上に努力を続けて、さらに高給を得ていたとしても、50歳近くになれば、組織の変革期には、人件費削減の対象になったりします。
転職サイトなどを見ていると、「~40歳前後まで」というものが多く掲載されているので、それらの組織が求めている人材のスペック以上であれば、年齢制限を5~6歳超えていても採用されるかもしれません。ですが、そういったケースはごく稀なようで、一般的には労働市場では、40歳くらいを超えると、どんなにスペックを高めても、転職/再就職することは難しいようです。
上手く転職・再就職できたとしても、年収100万円~半分程度ちかく落としてやっとなので、それに伴って今までの生活レベルを下げる等もしなければなりません。
どんなに鍛えても、年齢を知られただけで使ってもらえないことが…
よくスキルアップなどの自己投資こそが最強、という記事や本を目にしますが、労働市場の現実を見ると、そんなに正しくはないようにも思えます。社会に出たばかりの20代やまだ若手の30代の人であれば、自分を鍛えることで、今属している組織よりもいい条件でどこかに雇ってもらえる可能性は上がります。
40代以降の転職の場合はおそらくですが、何人かお会いして聞いてみたところ、ほぼ「招かれて」に近いようなケースでなければ良い条件のものは少ないようです。しかも、それまでの実績もかなりのものを要求されるので、そういった機会は単に自己投資だけで得られるものではありません。
「年収」が落ちても、他で稼いで埋めればいい
労働市場や人材会社の40~50代の働き手に対する年齢の見方に賛成はしていません。単純に○○歳だから価値が低い、という見方は間違いだと思いますが、それでも物理的に、生身の人間はどうしても歳を取ると弱くなってしまう部分はあります。しかもこう言った部分は、自己投資でも埋めきれなかったりします。
では突然の早期退職のススメやリストラに備えてどうすればよいかというと、やはりダイレクトで自分自身にリターンをもたらしてくれるものを、若い時から積み上げていくことだと思います。
自分を鍛え上げることはとても良いことですが、その自分が労働市場で使われることがなければ、鍛え上げたものが一銭も生まずに無駄になってしまいます。それに対して、不動産・株式・メディアなどの資産は、オーナー自身の状態に関係なくお金を稼いでくれます。冒頭の記事の50代の方のケースでは、400万円分の不労所得の種を持っていれば、再就職先の給料が低くても全く問題ありません。
人間同士だけの勝負ならまだ何とかなる部分もありますが、この先は機械とも競争ですから、それぞれの人間が労働市場にいられる期間は短くなる可能性もあります。突然の退場に備えて、日ごろから自分の「資産」を持つorせめて持つことを検討すると良いかと思います。