終身雇用制度崩壊・老後資金2千万円不足・年金不安・長生きリスクなど様々な要因が重なり、今では年金受給開始年齢の65歳以降も働き続けなければ生きられないとされていますが、実際には65歳以上でも働ける職場は、全企業の中でもわずか11%程度と、年齢を重ねてからでも活躍できる場はかなり少ないようです。労働人口が減っている中、多くの企業が人手不足の状態のはずなのですが、高齢者の人たちにはなかなか働く機会が与えられません。でもそれはなぜなのか、今回はその理由や対策などを探ってみたいと思います。
高齢者が活躍できない理由
先日見たこちらの記事「年功序列大国ニッポンで「急に雑に扱われる」シニア人材の憂鬱」(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191107-00024020-gonline-bus_all)では、組織内で活躍の場を与えられない60歳以上の社員たちが置かれている状況や、役員定年(55歳前後?)以降に彼らが軽視されてやる気をなくしてしまっている現状などについて書かれていますが、定年後の再雇用の制度がある程度整備されたとはいえ、60歳以降も同じ組織に残って働き続けるのはかなり難しそうです。
60歳以降の社員がなかなか活躍できないもしくはしづらい要因としては、例えば役職定年などで後進に道を譲るよう言われて自分が年下の上司の下につかなくてはならなくなったことや組織内での存在感の低下、記憶力や体力面での衰え、再雇用に際する待遇悪化(年収が5割近く減等)、などが挙げられていますが、コメント欄を見ると、一番の要因はもしかしたら別のところにあるようにも感じます。
若い人もいつかは同じように歳を取るはずなのにコメントはどれも手厳しく、例えば「別に彼らが歳を取ったからではなく、付いていた役職の粉飾が解けて本来の扱いに戻っただけ」「人柄や態度による」「老害になる前に去るべし」とあります。
これらを読む限り、若い人たちは今のシニア層のことを良くは思っていないようで、シニア層が活躍できない大きな要因は、彼らが現役時代に尊大に振舞いすぎて、組織に残っている今の現役世代に言わせると、よほど能力的に優れていない限りは彼らを組織内に残しておくべき人材としては見れないから、ということになりそうです。
一方でシニアの人たちからすると、「歳を取る=偉い」の図式が急に認められなくなったことが許せない部分があるようです。
これについては日本だけではなく欧米でも少なからず同じようなところがあり、先日ニュージーランドの国会で25歳女性議員の演説中にヤジを飛ばしたシニア層に対し、彼女は「OK、ブーマー」と一言で痛烈に放ち黙らせて(「25歳議員が年配議員の野次を平然とあしらった「OK、ブーマー」の一言 NZ」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191107-35145048-cnn-int)、若い人たちから多くの賛同を得た例を見てもわかるように、今まで特に何の根拠もなく年配者が若年層に対して上から目線であったことに対してかなりの反感があることがうかがえます。
定年後も必要な人材として見られるには?
どうすれば定年後も邪魔扱いされずに組織に残り活躍できるのかというアドバイスは記事中にはありませんが、コメントの中にいくつかヒントがあります。
まずは与えられた役職を自分の力と勘違いせずに自分の磨き続けることと、そして、若い人たちに対して尊大に振舞わず彼らをリスペクトして接することで、定年後に自分が軽視されることは防げそうです。
そもそも歳を取るには特に才能は必要なく誰でも簡単にできることですから、自分が相手よりも年長者であることは、威張れる根拠としては使えません。
ここ数年の企業の動きを見ると、高齢者雇用の義務化(今は努力義務ですが)に対し先手を打って、45歳以上の社員の数を事前に減らすことによって今の段階から彼らに対する継続雇用負担の軽減を図っているようにも見えます。
役に立たないどころか老害もしくは扱いづらい人間と見られると切られる可能性は高くなるので、そうないように、役職がついてからも新しいことを学んで経験も積み続けて、組織内では常に謙虚な態度で居るのが良さそうです。