最近は老後資金の準備や不足分のカバーは投資でやろう、という考えが「主流」になりつつありますが、安易に投資を始めて資金を減らすよりも働いて堅実に準備・カバーせよという論調の記事を見つめましたので、今回はその内容について考察したいと思います。
働けば、確かに上りはほぼ確実に手に入るものの
こちらの「老後資金は投資で増やすべき働いて増やすべきシンプルな理由」(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191101-00219188-diamond-soci&p=1)によると、老後資金準備のために安易に投資を始めてしまうと、運用の成績次第で元本割れして資金を失うリスクが大きいため、小細工はせず、黙って働き続けろ的な論調で、働き続けることこそ最強の老後対策、のようです。
具体的にはどう危ないから投資を避けるべきなのかが示されてはいませんが、おそらくは単純にイメージ的に、損をしている人が多いから、ということなのかもしれません。
筆者によると老後の確実に収入を確保するには、定年後も働くのが一番とありますが、体が健康で体力さえ問題なければ、確かにその通りかもしれません。
投資とは異なり、労働の場合は、賃金不払いで問題がある会社にでも入らない限りは、投資のように資金を失うという「リスク」は特にないですし、上りはほぼ確実に得られます。
また、今までも何度か触れましたが、今現在60歳~の人たちの中には、老後資金の準備がまだ途中であったり額がかなり不足している人が多く居て、もともと年金受給開始年齢も延びて実質的な定年が遅くなったこともあって、定年後も最短でも5年程度働くことにはほとんど抵抗はないと思います。
働く意欲を持つこと自体は問題ないものの…
このように多くの人は、大雑把にでもおそらくは定年後も普通に働くことを想定しているようですが、過去何度か触れた通り、66歳~と、ある程度の年齢に達すると、雇ってくれる企業が意外と少なく(66歳~の継続雇用は全企業の11%程度らしく)、また、そもそも定年後の60歳以降は、収入も現役自体の5~7割にまで落ちてしまいます。
筆者の言う通り、今の高齢者の人たちの健康寿命は延びて入るのですが、働く意欲があったとしても、しかも今現在は人手不足であるにもかかわらず、そもそも雇ってくれるところが少ない、という現実があります。
現役自体にやっていたホワイトカラーでなくて肉体系のお仕事でも全然構わない、というのであればいろんな仕事はありますから、確かに筆者が言う通りに投資で不労所得を得られる可能性以上に、確実に給料を得ることができます。
ただし、その分の時間は失ってしまい(現役のときもちろん同じことですが)、体にもこたえるので、どれ働き続けられるかは、分かりません。投資をせずに歳を取っても労働一本で最後まで生きていくのは難しいのです。
投資は別に怖がる必要はない
記事の論調そのままを受けてしまうと、「投資は怖い」という意識だけが植え付けられてしまいそうですが、実際は別にそういうものではなく、負ける人がいれば勝つ人もいるわけで、適切にリスクを管理して手堅い投資対象を選べば不動産でも株式でも家賃や配当などの収益を得ることは全然別に難しくはありません。
投資にはリスクが伴う、とありますが当たり前のことです。何にだってリスクはあります。労働にだって不払い、ケガ、死亡などの大きなリスクはあります。
老後からいきなり始めてしまうと「小さな失敗で習う」時間が足りないため、上手く収益を上げることができずに終わってしまう可能性もなくはないですが、投資=儲からないもの、ではありません。
20~50代のうちに少しずつ始めてずっと続けていけば、何であれば家賃・配当・広告料などを稼ぐことができて、何は収益を上げることが難しいのか等を学んで不労所得で暮らすことは十分に可能です。