先日ここでも老後資金の不足分は2,000万円というのは本当なのかを検証してみましたが、今回目にしたこちらの記事(「70歳まで働くなら必要な貯蓄は550万円で済む」https://president.jp/articles/-/30151)では、もし65歳まで働く場合は老後資金の不足分を1,000万円強くらいで済み、70歳まで働ける場合はこれを550万円にまで圧縮できるので、あまり心配ないとあります。
不足額の根拠となる部分は変わらない
さてまず記事中で述べられている試算の前提条件についてですが、年金などの実収入(年金が9割を占めるとのこと)が約22万円で、支出は約26万円強となっており、毎月の不足分は4万円強と、老後の生活費は26~27万円?でも触れた通りの現実的な数字です。ちょっと支出を少なく見積もってそうな印象もありますが。
では、年金受給開始年齢である65歳から30年程度の不足額合計を出すとなると、単純計算では、毎月の不足分5万円×12か月×約30年=合計は1,800万円、6月だったか金融庁に受け取り拒否された報告書によると約2,000万円となっています。
ですが記事によると、歳をとるごとに徐々に消費に関する支出が減っていくため、不足額はだんだん少なくなるとあります。例えば、60歳前後では毎月の生活費は確かに27万円近く必要にはなるものの、85歳近くになれば、段々と外に出ることも減るため、毎月20万円程度にまで落ちるとあります。
そのため、65歳まで働く場合は、実は騒がれているほど生活費の不足は発生せず、その後30年間の生活費の不足分合計は、約1,030万円程度にしかならないとあります。その根拠としては、
70歳まで働ければ、これをさらに圧縮できる?
さらに記事によると、もし65~70歳の間も働くことができれば、この生活費の不足分合計額を550万円程度にまで抑えることができるとあります。
ただ、実際には65歳以上も働くとなると体にもキツいですし、いくら人手不足とは言っても、雇ってくれるにしても職種は限られています。自分の親族でいえば例えば義父(電気系)、父(建築士)のように元から特殊な専門職に就いていれば、年齢を重ねても「ぜひ来てほしい」ということになり悪くない待遇で働くことができますが、それでもフルタイムで働くのはもうキツついので日数をかなり絞ったと言います。現実的に考えると毎月数万円分を埋められるくらいと思ったほうがいいかもしれません。
代わりに働いてくれるものを持てば大丈夫
月数万円の不足、であれば少額で始められる投資でそのほとんどを埋めることは可能です。株式の場合でも1,000万円程度あれば、5%近く出る高配当銘柄に投資して月4万円稼ぐことができます。不動産であれば、200~300万円程度の資金で、中古物件を買って月4万円程度稼ぐことは全然難しくありません。
これらの現物資産は、自分が歳を取り衰えても稼ぎ続けてくれるので、外で働けなくなったとしても安心です。冒頭の記事のとおりの1,030万円もの資金があれば、これの実現も簡単で、そんなに心配する必要はありません。