その昔、頑張ってお勉強する⇒いいお学校に入る⇒いいお仕事に就く⇒いいお給料をもらう⇒また子供も同じことを繰り返し…、の単純なライフサイクルは永遠に続くものと思われていました。しかし長く続いた不況やIT化が進んだせいで、このサイクルが崩れてしまいました。2015年当時、大手企業の社長らも「これからは大多数を占める年収100万円台の社員か少数の年収1億円クラスのエリートの2層にはっきりと区別される」と言っていましたが、非正規雇用の拡大などを見ると現状はそれに近いものになりつつあります。
2000年頃から言われてはいたものの
ずいぶん前から、世界規模の賃金のフラット化によっていずれは中間層はほとんどいなくなり、年収100万円台に近くなっていくと言われていましたが、さすがにそこまでひどくは落ちなかったものの、森永卓郎氏の「年収300万円時代」どころでは済まない状況にあるようです。
すごく大雑把に大別すると現状では、大卒の普通の社員で年収300万円台、非正規で200万円台、アルバイトに近ければ年収100万円台、といった感じで自分の子供たちに多額の教育費を注ぎ込んできたであろう親御さんたちもきっと、数千万円も掛けて大学に子供を入れたのは何の意味があったのかと言いたくなるような状態です。
古すぎてリンクを失ってしまいしたが、教育投資というものは以前はとても利回りがよく、例えば小学校から大学まで一人の子供に3,000万円の教育費を注ぎ込めば、息子/娘はかならず高給取りになり、900~1,200万円くらいかもしくはもっと稼いで、単純計算では年利で30~40%の超高利で回る投資と信じられていました。しかも投資額の3,000万円を確実に回収してなおリターンを生み続ける(高給をもらい続ける)ものと思われていました。
ですが今は学生たち(だけでなく、実はすでに社会に出ている大人も含め)は不況の影響を受けたり、さらにAIやロボットの台頭により、投資額を回収できる見込みさえも立たない状況にあります。
ごく普通の文系の学科を出たという程度であれば、年収は300万円台が割と普通で、教育費に対する利回りは悪化してわずか10%近くへと一気に下がります。しかも10年以上続けて雇用されるかは何の保証もないので、本当に3,000万円を回収できるかさえも分かりません。仮に非正規雇用でしか就職できなかったとすれば、回収に掛かる年数はさらに5年長くなります。
知識詰込みにお金を使うよりも、現物を残してあげるほうが良いかも
投資の世界では6.6%~10%の利回りというとそれなりに優秀といえますが、昔の教育投資の利回りがあまりにも驚異的に優秀だったため、それと比較すると、お勉強のパワーはかなり落ちたと言えます。言い方は悪いですが、一生懸命お勉強しようがしまいが、結局はその程度の額にしかならない、ように見えます。
年収300万円であれば、株式で高配当銘柄に投資していれば元手6,000万円くらいで、不動産であれば1,500万円程度を投資して中古の戸建ていくつかもしくはアパートなどから賃料を得ることで、到達できてしまう金額です。web制作であれば、必要なツールや知識は全てネット上にあって、それらを使えば広告費を稼ぐことができます(月25万円に到達するには時間もかかりますが)。これらは3分野については学校では知識を得ることができず、学歴は何の役にも立ちません。
こうした現状を見ると、単純にいいお学校に入るためにたくさんお勉強する+多額の教育費を注ぎ込む、はあまり効率がよくない投資と言えます。
学校というところとで上手くいかなかったり嫌いだったという人にとっては、行きたくもないところで無理して頑張らなくてもよい・入らなくてもよいので、自分が持っているものを何でも使って勝負ができる良い時代が来たとも言えます。むかしのようにただ雇われて頑張りたい人にとっては逆に災難ですが。
確かに「人」は大事です。教育も大事というのであれば、従来型の知識詰め込み系のお勉強ではなく、何かを作り出すようなことや今の世界の新しい技術を学ばせてあげることがよいのでは。そうでなければ、使う機会があるかどうかも分からないものに大きなお金をかけすぎるよりも、最初から稼いでくれると分かっている現物資産とそれらを使う知恵を持たせてあげた方が、その子の将来のためになるのではないかと思ったりします。