世界的な不況のためか、日本の今年の出生数が90万人を切るであろうとの記事が1位表示されているのを見つけました。記事自体+寄せられたコメントを見ると全体的に、この国はもうダメだ衰退する…的な悲観論が大勢を占めていますが、必ずしも「人口減少=経済衰退」となるとは限りません。なぜなら旧ソ連国の一部は人口が減少しているにもかかわらず経済は成長を続けています。日本も安易に外国から安い労働力を入れることに頼らずに、人口減少を生産性向上のチャンスとして生かせれば、経済成長を続けていくことは十分に可能です。
悲観的な記事やコメントが多いけど
今年もまだ2カ月あるので結果は分かりませんが、「「出生数90万人割れ」 Twitterでは「当たり前」「もう手遅れ」の声 怒りとあきらめが漂う」を読むと、コメント欄はほとんどがこの国はもう駄目だろう的なもので埋め尽くされています。「少子化が進めば社会保障も崩壊」「収入が上がらない現状では子供はリスク」「保育園が足りない」など色々。
でも、人口が減少するとそれが単純に本当に衰退を意味するのか見てみる必要があります。
理論的には
GDP(国内総生産)とは所得の合計=生産量=需要(支出額)のことです。ですから、ITやロボット技術の革新などによって、一人当たりの生産性を上げることができれば、GDPは保てます。
前述の旧ソ連国、例えばラトビアやジョージアなどは人口が減っている中で、それを実行していて(ロボットのほうは分かりませんが、IT化は進んでいる)、公共サービスの電子化を進めたり、10年かけて腐敗を浄化したり、ビジネス環境を整備して投資を呼び込んだりして経済規模をなんと4倍以上にも拡大させています。
もちろん、これらの国は日本と比べると元々が豊かではなかったので伸びしろがあったり(*アメリカなどの成熟した国でも経済成長は可能なので、あまりこれを理由にはできないですが)、また人口規模も小さく、これらの国にも色々問題が残っていたりはします。それでも、ソ連崩壊後に人口が最盛期から2~3割も落ちてしまってからでも経済は成長させることができると証明しています。
やってはならないこと
日本ではずいぶん長く経済停滞が続いたため雇用する側もそれほど多くの給料を払わなくても労働者を多く集められたので、わざわざ技術に投資をして一人当たりの生産量を上げなくてもやってこれたのですが、結局これが国全体の経済規模を拡大できなかった原因になっています。
ではこの先に今度は日本人労働者を集められなくなったからと言って、もし人手不足を単純に外国からの安価な労働力の受け入れで解決しようとすると、またもや生産性が上がらず、GDP(所得)は増えません。総人口は同じレベルに保てても、安い賃金で埋めた分だけGDPはむしろ減ってしまうかもしれません(一人当たり、が安くなるので)。
少なくなってしまった労働人口でも経済が回せるように、AIやロボットなどの導入を進めたりそのほかの技術の革新を進めれば、一人当たりの生産性が向上させることできて所得が増えます。そうすると若い世代の人たちの給料も増えて希望が持てます。
それほど心配はない
ということで、人口減少と聞くとそれだけで寂しくなる・衰退といったイメージがありますが、逆に人口増加=経済成長とは簡単にならず、生産性の向上で成長は可能なので(売り買いの単価も上がる)、人口減についてはそれほど心配は要りません。
それに、おそらくどれだけお金をばらまいたとしてもあまり子供の数は増えないでしょう。今の社会では一人で自由に生きて楽しむ、という生き方も確立されています。いちど自由の味を知ってしまうと、お金を配るから子供を持ってくださいと言われても中々そうはならないでしょう。お金があっても結婚しない男性を見ると、少子化の原因はお金だけでなく価値観が変わったことによるところも大きいのかなとか思ったりします(悪いと言ってるわけでなく)。
人口減少や出生率の低下自体は後進国さえも含めた世界的な流れではあるので、人が少なくても持続可能な道を探る方が現実的な気がします。