国税庁の調査によると、昨年は、民間企業の働き手の平均年収が約441万円と、その前の年と比較して8万5千円増えて、6年連続の伸びを記録したようで、これは女性の配偶者特別控除の対象額が上がったことに伴い、女性就労者の数と所得額自体が増えた影響によるものだそうです(https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20190928-00000009-jnn-soci)。ただ、この記事に寄せられたコメントを読むと「増えても暮らしは楽にならない」が大勢を占めているので、働き手にとって何かが良くなったわけではないようです。
手取り額は増えていない
この調査結果によると、例えば女性就労者の平均年収も293万円と、数年前の280万円前後の時と比較すると増えていて、男性側も同じく上がっているので、金額的には確かに増えてはいるようです。ただ一方で、多くの人もコメントしているように、税負担・社会保険料の負担は増え続けていますから、手取り額は増えておらず、給料が増えたからといって暮らし向きは以前と変わらないようです。
また、以前こちらの記事(社会保険加入者の調査結果によると「半数の人の月収(総額)は24万円以下」)でも触れましたが、この平均値は本当の平均(中央値)よりも高く出てしまうので、寄せられていた多くのコメント通りであれば、今までと同じ仕事をしてきた人の年収はもしかしたら上がっていないかもしれず300万円以下のままかもしれません。
楽にはならない
こういった調査結果が出ると、だいたい毎回「手取り額は変わらず暮らしは良くならない」といったコメントが多く寄せられるのを目にしますが、確かにそうなんだと思います。給料が増えても、物価の上昇や税負担・社会保険料納付で昇給分が消えてしまうので、たとえ経済規模が拡大しても、暮らし自体は楽にはならなさそうです。経済成長の過程で新しい技術などが出てきて、人力でやらずに済むこと等は増えて便利になったりはしますが、もっと効率的に・もっと速く・もっと多く、は常に求められ続けるので、貰える対価が増えても楽にはなりません。
出資者への憎悪は少し減った?
以前は企業の業績などに関するニュースが出ると「なぜ俺らにもっと多くの給料を払わないんだ」というコメントが多くみられらものですが、最近はそういったものが減ってきました。
戦後の日本ではずいぶん長い間、「会社は働き手のもの」とかいう資本主義としてはありえない間違った認識が広まっていましたが、ようやくリスクとリターンの概念が浸透して、企業の利益はリスクをとって出資をした株主のもの、と理解されたのでしょうか。
たしか資本論の中にだったか、働いて企業に貢献して得られるボーナスは、昇給ではなく、「そのまま雇い続けてもらえること」とあったと思います。今の経済状況はその一説のとおりで、働き口はたくさんあります。でも一昔前の給与水準は戻ってきません。企業は、物価の上昇分や税負担分くらいしか考慮してくれません(それでも働き手に優しいほうかも…)。
「雇われて働く」がメインだと楽にならない
結局のところ、「雇われて働く」をメインに据える限りは収入が上がっても暮らしは楽にならないので、自分が働いて稼ぐ以外の収入源を増やすしかありません。
自己責任にはなりますが、それでも、労働以外の収入は、ほとんどの場合、自分だけのものになります。その収入源を増やしていけば、給料などあまり気にせずに生きることが可能です。