一昨日アマゾンが一足先に昨年からAI採用をやめたと出ていたので、今回はこの夏にリクナビが行政指導を受けていた件について触れたいと思います。リクナビはまだ情報保護に慣れていない学生というやや弱い立場を利用して、勝手に彼らの行動パターン予測のデータを第三者に売る、という悪い商売をしていたようです。
個人情報を売買して是正勧告を受ける
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが8月26日、利用者に無断でデータを第三者に流すことをやめるよう勧告を受けたようです。就職活動中の学生の同意を得ずに、彼らのサイト閲覧履歴などをAIで分析、内定辞退率を予測し、そのデータ(5段階評価したもの)を有名企業にも販売していたようですが、政府の第三者機関から指摘を受けて、7月にはサービスを休止し、8月5日にはサービス廃止を発表していたようです。9月末までに具体的な是正措置を出すよう指導を受けたようですが、こうなってしまってから学生さんたちの信頼・同意を得るのは無理で、このままサービス自体は廃止となりそうです。
時事通信(「リクナビ」に是正初勧告=内定辞退率提供は違法-情報保護委8/26(月) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190826-00000069-jij-pol)によると、無断で予測データを第三者に売られた利用者の数は約8,000人近くに上り、昨年3月から38社に販売されていて、データを購入した企業にはトヨタ、ホンダ、三菱電機、京セラ、NTTコムウェア、YKK、レオパレス、りそなHD、アフラック、大和総研などの大手企業が含まれています(リクナビ「内定辞退率」予測データ、トヨタなど20社超が購入 産経新聞 2019年08月26日 )。
データを売るほうも売るほうですが、買うほうも買うほうで、どちらの側も学生さんたちの信頼を裏切ってしまったわけですから、この先彼らから信じてもらうのは難しくなるでしょう。
痛い罰がなかったのが不思議
事件としては今回の件はわりと悪質なケースだとは思うのですが、罰金などの懲罰的な措置がなかったのが不思議に思えます。謝罪だけで済まされて終わってしまうというのはどうなのでしょう。企業の側も人材の確保にとても苦労していることはよくわかりますが、個人情報の保護に関しては日本はまだ緩い部分があるのかなと思ったりします。
就活市場には詳しくないので、就職活動と聞くと何となくリクナビ一強のイメージがあったのですが、今回の件を受けて、他社さんは逆に学生さんたちの個人情報の保護を強みとして打ち出せば、利用者を増やせるかもしれませんね。