特にここ数年主要国で移民受け入れ反対の動きが強まっている理由について、文化的・社会的影響なことはいったん置き、経済的に見て、なぜなのかが分かりやすく説明されていたので、今回はそれについて触れたいと思います。人手不足や移民受け入れは私たちで直接どうこうできる問題ではないで、できればこうした経済的な背景・理論などもわかっている人に票を入れたいと思ったりします。
過去は人余り?
数年前までは、人口減少・人手不足は経済規模を縮小させるので悪⇒もっと積極的に海外から安い労働力を受け入れるべき、という論調の記事であふれていましたが、ここ最近はそれが本当に正しいのか冷静に分析・解説してくれる記事が出始めました。
例えばこちらの記事(「「人手不足」はようやく訪れた日本経済のチャンス」需給関係がすべて、の項より https://www.glocaltimes.jp/column/7906)では、1990年以降なぜ日本では働く人の給料が上がりにくくなったのか+人手不足がなぜ悪いことではないのか、が分かりやすく説明されています。
筆者によると日本ではここ最近まで仕事の数よりも労働者の数の多すぎたので、どんなに安くキツい仕事でも、わりと簡単に働きたい人を集められたので、経営する側は働き手の労働条件の改善や生産性の向上を考えずともやってこれたようです。結果として、これが生産性の高い産業への参入・進化を妨げてしまい、日本では過去30年もの長い間働き手の賃金が上がることはなかったとあります。
別記事の(「50年前から分かっていた少子高齢化問題、なぜ回避できなかったのか」http://blog.livedoor.jp/kororoko1/archives/1075761723.html)でも、結局この低賃金の固定化が少子化の遠因となったとあります。
安易に安い労働力に頼ると経済が成長しない
この見方はおそらく正しくて、過去に他の色々な記事でも触れられていますが、一人当たりGDPを比較すると他の主要国では伸びが見られるものの、日本だけここ30年間ほぼ同水準のままで取り残されています。
経営者の人たちとしてはなるべく大きなリスクを取らずにさらなる移民受け入れを求める方向に進んでしまうかもしれませんが、これをしてしまうとまた同じように長い間、一人当たりの生産性は上がらず=所得は増えず=GDPも伸びず、税負担などが増えている中で働き手の給料も上がらず、みんなが豊かにはなれません。
自分たちで直接できることは少ないけれど
ここ最近の幾つかの大手企業の動きを見ると、AIやロボットなど新しい技術導入によって人員削減を進めているところもありますから、つまりは技術革新によって生産性を上げることは可能なんだと思います。このように、無理に人を増やさずとも経済成長は達成できるので(実際に例えば旧ソ連国のように人口減少していても成長しているところもあり)、自分たちが直接できることは少ないですが、新しい産業に参入しようとしている企業を応援(投資)したり、そうした経済的理論をわかっていて安価な労働力受け入れよりも新しい産業振興を推す人に票を入れたいと思っています。