「何かあった時のために備える」ということで、ただ貯金だけをするという人に時々会います。確かに、現金は何かがあった時に、使われて手元から無くなるまでの間に一度だけ自分を助けてくれるかもしれません。ですが、そのあとにまた危機に直面したらどうなるでしょう。自分の場合、そう考えると、一時的に自分を助けてくれるものよりも、自動的+継続的に自分を助けてくれるもののほうが頼れると思えたので、現金よりも、お金を生んでくれる資産を買う/持つことに注力しています。
「Cash is King」ではあるものの
投資の格言に「cash is king」という言葉があるそうです。
この格言の意味を調べてみると、検索結果で色々な解釈が出てきますが、そのほとんどが、不測の事態に陥った際に大きな助けになってくれる、もしくは、不況時に資産価値が下落した投資対象のバーゲンセールに参加できる、といった意味合いです。どれも内容的には正しいものと思いますが、解釈はどうであれ、事実として現金自体は、極僅かな利子以外に何も生んではくれないため「現金をため込む=資産を無駄に眠らせている」だけということにもなりかねません。
不況時に価値が下がっても、現物資産は所有者を助け続けてくれる
不況時には現物資産の価値も下がるので、それを売ってその場をしのごうとする場合には、低い価格でしか換金できないので不利になります。ですが、そのままその現物資産を持ち続けていれば、配当、家賃、広告料などの収入は途絶えない(=不況だからといって、借り賃や代金を支払わなくていい、ということにはならない)ので、そもそも何も売らなくても不況をやり過ごすことは可能なはずです。
10年前に起きたリーマンショック直後の例でいいますと、実際にその頃は、持っている全ての不動産と株式の価値は確かに大きく下がりました。ですが、不況になったからと言って、これらの稼ぎが無くなるといったことはありませんでした。
どんなに不況であっても人は住む場所が必要ですし、どこかに借りて住む以上は家賃の支払いというものが発生します。当時は、以前から既に家賃は安く設定済みで満室だったということも有り、不況に突入した後も家賃収入が減ったりはせず、不動産からの稼ぎは全く変わりませんでした。
金融危機と大震災後の数年は、企業の業績が落ちたことに合わせて少し配当収入も下がった/無配になったところもあったものの、当時は通信会社や製薬会社などのインフラ系(電力系は、原発凍結後に無配になってダメでしたが)や医療系の景気の影響を受けにくくわりと堅い動きをする企業の株式をメインで持っていたため、それほど稼ぎは大きく減ってはいません。
当時はまだサイトを一つも持っていなかったので、不況下で広告料がどうなるかの検証結果は持っていませんが、おそらく成約報酬も減ることにはなると思いますが、これも株式と同様に、生活必需ジャンルであれば、不況下でも広告路湯を稼ぐことは可能なはずです。
現金はもちろん不況時に有利
もちろん、現金を持っているということは、不況時に資産価値が下落した優良な不動産や株式を安値で買えるチャンスということにもなります。
ですから、これに合わせて現金をある程度準備しておく、というポジティブな理由であれば、「ある程度」貯めるという考えには賛成です。
ですが、繰り返しにはなりますが、現金はそれ自体が大きなお金を生んでくれるということはないので、貯蓄にもバランスというものが大事なのかなと思います。