暗号通貨関連の情報に触れていると、よく聞く「マイニング」という言葉。
これについて「儲かる」「いや儲からない」と様々な「収益性」が語られています。
しかし実際、マイニングとはどんなことをするのでしょうか?
暗号通貨との関連は?
意外と知らないことが多いようです。
今回はまず「マイニング」について基本的な部分を説明していくことにしましょう。
◆暗号通貨における「マイニング」の概要
「マイニング(Mining)」とは、英語で「鉱石・石炭などを採掘する」を意味する「Mine(マイン)」という動詞から出た動名詞です。
(「私の物」という意味のmineからではありません)
現在の基軸通貨と言える「ビットコイン」を始めとする多くの暗号通貨の取引(トランザクション)の際に、認証の作業として電力を使ってある数学の問題を解析します。
それが成功すると、そのトランザクションが認証され、関わった人は報酬として少しのコインを得られることになります。
この行為を「マイニング」と呼んでいます(なぜ「マイニング」という名前なのか、については後述します)。
この「マイニング」行為により、暗号通貨の取引は分散型台帳である「ブロックチェーン」の中に正式に書き込まれていきます。
◆具体的にどんなことをするの?
「マイニング」でいう「計算」は、ハッシュ関数と呼ばれる情報に様々な値を代入して、繰り返し計算しながら答えを探す作業です。
「ハッシュ」とは、コンピュータ上のある一定長のデータを変換して生成される固定長データを指します。
このハッシュを生成するためのある関数が「ハッシュ関数」と呼ばれます。
このハッシュ関数はコンピュータ上の文字列であれば、どんなデータでも変換が可能です。
「ハッシュ関数」の最大の特徴は「不可逆な一方向関数」であることで、一方向にのみ変換可能ですが、元のデータに戻すことはほぼ不可能です。
この「ハッシュ関数」の既定値よりも小さい場合に「解が得られた」とみなされ、そのマイナーのマイニングが成功とされ、マイニング報酬が付与されます。
この時の代入値(数字)を「Nonce」(ナンス)と言います。
「ナンス」は、”Number-Used-Once”「1回で使い切りの数字」の略語です。
これは暗号化通信で使用されるもので、いわゆる使い捨てランダムデータを指します。
これまでの傾向を見るに、暗号通貨におけるマイニングの成功率は、計算量の大きさに比例しています。
計算量の大きさでマイニングが成功するシステムのことを「プルーフ・オブ・ワーク」と呼び、「Proof of Work」の頭文字を取って「PoW」と表記しています。
◆マイニングの現状は?
暗号通貨の利用者が増えていくにつれ相場が高騰します。
するとマイニング報酬を欲しがるマイナーが増えて行きますので、一人のマイナーが得られるであろう報酬のチャンスは下がっていき、作業が年々困難になっていきます。
(とは言え、価格も比例して高騰しますので、それでもマイニングで収益を上げることは可能です)
Diff.(難度)が高まっていくため、マイニング機材もどんどん高性能化していきます。
最近のマイニング用のコンピュータは高性能で、より強力なハッシュパワーを出すことができます。
ただし、皆が同じように最新の高性能機材を使うので、パワーバランスはそう簡単に崩れません。
◆なぜ「マイニング」というの?
この暗号通貨の認証行為をなぜ「マイニング」と呼ぶかというと、立ち会っている認証作業の作業者は、実際にいつ成功するか、自分が最初に答えを発見できるのかわからず、まるで鉱山に入ってツルハシで岩を掘り進めて、いつか貴金属を発見できることを期待して作業する鉱山採掘と似ているため、いつしか「マイニング(採掘)」と呼ばれるようになりました。
※ちなみに、暗号通貨が今のように知られるようになる前の、コンピュータ関連での「マイニング」という言葉は、基本的にはデータベース関連の言葉として使われていました、「データマイニング」という表現で、所謂マーケティング分野での「膨大なデータから販売促進に使えそうな情報をサルベージしていく」作業のことを言っていました(現在でもそのように使われます)。
◆マイニングの欠点
マイニングには高速計算処理が必要で、それに伴い電力を大量に消費します。
ですから、ひとつの暗号通貨のマイニングを行うならば、電気料金の安い地域で行ったほうが有利になります。
マイニングにおける採算確保をするため、多くのマイナーは中国の山間部や北欧など、電気料金が安い、水力発電等で無料化できる、または冷房が不要で機材の冷却にかかる電気料金を減らせるような地域に設備を置いているのが現状です。
新興のアルトコインのマイニングでしたらまだ個人の参入も出来ますが、ビットコインでは相当に高価なハイスペックの専用リグが必要で、電気代もかかりますので、正直いって一般家庭ではBTCマイニングは無理だと思います。
2014年~2015年までが「ビットコインマイニングを個人が楽しめる」最後の年であったと回顧します。
◆まとめ(その1)
結局のところ、暗号通貨における「マイニング」とは、速度を争う「ハッシュ関数の計算」です。皆に報酬が与えられるわけではなく、一番はやく「ナンス」というデータを見つけた、早押しクイズの正解者だと言えます。
前述のハッシュ関数の性質にしたがい、この「ナンス」はとにかくブルートフォース式に片っ端から代入していかないと解くことができず、結局はハッシュパワー(計算力の大きさ)を争うことになります。