今では多くの方に周知されるようになった仮想通貨ですが、今後の行方はどうなっていくのでしょう。2019年5月31日には金融商品取引法により仮想通貨の法令上の呼称が暗号資産へと変わり、今までとは取り扱い方も変わっています。そのため、取引する方は特に注意が必要です。ここでは暗号資産の今後の取り扱い方などに触れてご紹介していきたいと思います。
暗号資産へ変わった意味
そもそも、なぜ仮想通貨を暗号資産という呼称に変える必要があるのか疑問に思う方もいるでしょう。仮想通貨の場合、通貨と呼称する分ドルや円などの法定通貨と誤解しやすいといえます。そのため政府は以前から法定通貨と仮想通貨を誤認しないよう呼称を変え、G20や国会答弁等では暗号資産と発言しているのです。今回の5月31日の金商法の改正も、同様で企業全体が周知し法定通貨との誤認を防ぐという目的で施行されました。この法令改正は民間への強制力は低いものの、業界自体への影響は大きく日本仮想通貨交換業協会の変更も検討されています。今後は暗号通貨という呼称が一般的となり、社会全体にも広く周知されることでしょう。仮想通貨は2018年には広告やCMで全国的に知られるようになり、多くの方が利用するようになりました。大手の交換業者であるコインチェックが580億円もの資産を不正流失させるという不祥事もその時期に当たります。
あれだけの莫大な資産流失は珍しく、多くの人に衝撃を与えましたよね。政府はあれ以来、業者全体を育成しようと経営の見直しを図り、取り扱い自体も厳しくなっています。それをきっかけに暗号資産はFXと同じ位置付けに変更されるようになり、証拠金倍率の規制の導入や資産の保管も義務付けられるようになりました。そのため、投資家は以前より安心して利用できるようになったはずです。とはいえ、暗号資産はネットでのやり取りとなる分、実態がわからず犯罪にも利用されやすいというデメリットがあります。テロやマネーロンダリング等への利用も未だに懸念されています。今後は、それらをどう対策するのかが課題となっていくでしょう。
暗号資産になるとどう変わる?
5月31日の金融商品取引法の法令改正を受け、仮想通貨は呼称だけでなく規制もかかるようになりました。以前は資産管理自体がずさんな運営業者も多く、資産を流失させてしまうこともあったため仮想通貨に対しても疑念を持つ方も多かったでしょう。特に仮想通貨は実態がない分、信憑性にも欠け安心して取引しにくいものです。しかし暗号資産へと名を変えた現在は以前よりも取引しやすい環境にあるといえます。以前まで仮想通貨には、明確な規制や制限がない分、犯罪にも利用され問題視されることも多かったですが、今回の法令改正をきっかけに、運営業者自体の規制や安全性の高いセキュリティー管理が必要となり、さらに厳重な取り扱いが課せられるようになりました。そのため、以前より犯罪利用へのリスクは低くなっているといえます。また、今後は利用者が不当な不利益を被らないよう投棄などを促す勧誘、広告を禁止されます。取り扱う暗号資産を変更する場合も金融庁に届け出が必要です。
このように法令改正によって利用者への安全性が高まっていることが分かります。資産流失が問題視された時期に利用者離れが進み、仮想通貨(ビットコイン)は一時暴落していましたが、2019年5月では98万円までに回復しています。このことからも、多くの方が法改正をきっかけに注目するようになり期待していることが分かります。暗号資産の場合、通貨の取り扱いというイメージを持つ方も多いですが、実はそれだけではありません。送金や売買の記録、契約の情報、不動産登記や医療カルテなどさまざまな内容書類も紐付けされています。そのため、通貨だけでなく、情報にも大きな資産価値があるのです。そう考えると仮想通貨よりも暗号資産の方が呼称としては正確な表現なのかもしれませんね。現在では、オンラインでの決算や契約は珍しいことではなく多くの方々に利用されている分、暗号資産は大きな可能性を秘めています。
しかし、一方で資産流失や個人情報の漏洩なども懸念されていることも事実です。現対策としては、パスワードを2段階認証にしたり、定期的に変更したりするなどの方法が挙げられます。今後もますます暗号資産は注目され利用が増加する可能性も大きいですから、それに伴いセキュリティ対策も強化していかなければなりません。また、セキュリティ対策は運営業者だけに限らず、自身でもきちんと対策、管理しなければなりません。同じパスワードや単純なパスワードは外部からも参入しやすくリスクが高いものです。より安全に、暗号資産を取り扱いたいのであれば、自身もパスワードを複雑化したり変更したりと、それなりの対策が必要でしょう。
暗号資産になり、より安全性が高くなった
金融商品取引法により仮想通貨から暗号資産へ呼称が変更されました。この法令改正は単に呼称だけが変更されたわけではありません。利用者を保護するため規制やセキュリティ対策なども強化されるようになり、今まで以上に安全な取引が行えるようになっているのです。時代の先駆けともいえる暗号資産、これからの動向がますます注目されることでしょう。