仮想通貨モナーコインは日本の大型掲示板サイト発祥の仮想通貨で、まだまだ認知度は低いですが手軽に利用できる点が魅力となっています。そんなモナーコインの知名度を上げてしまったのが、システムを悪用して起こった詐欺事件です。
そこで今回は、モナーコインを巡って起きた詐欺事件がどのようなものだったのか解説していきます。
モナーコイン詐欺の事件の概要
事件が起きたのは2018年9月で、モナーコインを不正に引き出して1500万円を受け取ったことで18歳の少年が逮捕されました。
少年が行った詐欺行為は、モナーコインを受け取れるギフトコード機能の不具合を悪用したものだとされています。ギフトコード機能とはコードを入力することで自分宛に贈られたモナーコインを受け取ることができるというシステムで、通常であれば1回の入力につき1度しかモナーコインが受け取れないようになっています。
ところが当時のギフトコード機能には、短時間に大量の操作が行われると誤作動を起こしてしまうという不具合があったようです。その不具合が起きてしまうと1回のコード入力で複数回送金されてしまう状態となり、ボタンを連打することで不正に大量のモナーコインが送金されてしまいます。
少年はモナーコインのPRイベントを通じてギフトコードを入手した後、この不具合を悪用してスマートフォンやパソコンから合計8000回以上も手動でボタン連打を行ったと言います。その結果、133回分ほどのギフトコード入力で624回分の送金に成功し、約9万7千モナーコインを不正に取得したとされています。
このモナーコインは現金に換算するとおよそ1500万円ほどに相当するとされており、不正にモナーコインを取得した後は外部の口座に送金していたようです。さらに少年はサイバー攻撃を仕掛けることで自身の犯行をわからないようにしたほか、サイバー攻撃を仕掛ける際にも複数の匿名化ツールを悪用して身元を特定されないようにしていたことが判明しています。
これらの悪質な行為から詐取事件として発覚し、少年は電子計算機使用詐欺と組織的犯罪処罰法違反の容疑で逮捕されました。これは日本で発生した仮想通貨流通事件の中でも初の摘発として注目を集め、その結果としてモナーコインの名前も知られるようになったのです。
この事件の問題点と今後の対策
今回のモナーコイン詐欺事件は、犯人である少年がコンピューター技術や知識が豊富であったことや偶然ギフトコードの不具合に気づいたことが事件を起こす要因だったと考えられています。ただコンピューターやサイバー関連の知識や技術がなかったとしても、ギフトコードの不具合はほかの人が間違って操作してしまった場合にも起きていた可能性がありますよね。
そのような背景から、今回の詐欺事件が起きてしまった大きな問題点としてモナーコイン側だけではなく仮想通貨の出し入れを管理しているウォレット側のシステムに問題があったのではないかと言われているようです。
実はモナーコインは自分で取引所を選ぶ以外にも、自動的にウォレットを作成してくれるシステムがあります。このシステムを利用すれば、botにツイートするだけで簡単にモナーコインの送金や出金ができるようになっているのです。この手軽さがモナーコインの魅力として挙げられているものの、そのせいで不正に大量入手したモナーコインをすぐに外部に送金することができるようになっているという問題点も今回の詐欺事件で発覚してしまいました。
今回の事件を受けてウォレットの取引所側もある程度対策を講じているものの、あまり仮想通貨についてよく知らない人はそのまま利用している取引所に大量の仮想通貨を保管している人も少なくありません。そのように取引所内に保管しているだけだと、今回のような不正な詐欺事件に巻き込まれる可能性もあるのです。
そのためモナーコインをはじめとした仮想通貨の取引や保管に関しては、購入後はなるべく自分のウォレットに移して管理するようにすることが必要だと考えられています。そうすることでシステムの不具合を悪用されたとしても自身の仮想通貨を守ることができますし、不正に引き出されたとしてもすぐに対処することが可能です。
また誤動作によって自分たちが不正に仮想通貨を取得してしまった場合は、そのまま自分のお金として外部に送金するのではなく、すぐに運営会社に連絡をして返金するように対処することも必要です。それと同時に今回のモナーコイン詐欺事件は意図して不具合を悪用した詐欺事件ではありますが、自分たちもそのような不具合を意図せずに起こしてしまう可能性があることを理解しておくことも必要です。
モナーコインの詐欺事件は他人事ではない
仮想通貨側や取引所側の不具合を悪用して起きたモナーコインの詐欺事件は、コンピューターの知識や技術を駆使して行われた犯行というよりもゲームの裏技のように利用された結果の事件だったとされています。このため今後自分たちも誤った操作で不正に仮想通貨を取得してしまう可能性があるため、できる限り自分のウォレットを使うようにすることが大切です。