昨今、仮想通貨が話題となっています。そんな仮想通貨の市場にフェイスブック(Facebook)社が参入するという話はご存知でしょうか?仮想通貨プロジェクトのコードネームは「Libra」と呼ばれ、基盤がしっかりしている大企業が参入するということもあって今、かなりの注目を浴びています。もうまもなく発表されるのではないかと言われているLibraですが、今回はそんなLibraの特徴や仕組み、欠点などについてご紹介していきます。
Libraとは?
「Libra」というのはフェイスブック(Facebook)社が進めている仮想通貨プロジェクトのことです。仮想通貨プロジェクトのコードネームを「Libra」としていますが、すでにフェイスブック社によって商標登録されていることから「Libra」という名前が正式名称として使われるのではないかと言われています。Libraは英語で「重量ポンド」「通貨ポンド」「天秤」という意味です。WirtschaftsWocheやニューヨークタイムズなどのメディアや多くの投資家はLibraは半年以内(2019年6月現在)に発表されるのではないかと推測しています。
フェイスブックの2018年度決算によると、2018年度の第四半期においてフェイスブックグループのアプリ(Facebook、Instagram、Messenger、WhatsApp)を一つでも使った人は毎月27億人以上であるとされています。これだけの人が使っているプラットフォーム上で決済が可能になるため、かなりの利用が見込まれ、Libraの開発に10億ドルの資金調達を目指すなどフェイスブック側もかなり気合が入っていることが伺えます。Liberaでは無料、もしくはかなりの安価な手数料で送金することが可能になるであろうと言われています。友人同士の送金や、海外に出稼ぎに出てる人の自国の家族への給料の送金など、非常に便利に使うことができるのではないでしょうか。他の送金サービスは手数料が高額であるゆえ、大変喜ばれることでしょう。また、フェイスブックは仮想通貨を法定通貨に交換するためのATMのような機械を導入するのではないかとも言われています。
Libraの仕組みとは?
Libraは「法定通貨(米ドル)担保型ステーブルコイン」になるのではないかと考えられています。技術的な課題や価格の不安定さなどの面で不安が残る仮想通貨ですが、ステーブルコインはこの問題を解決することができると期待されています。ステーブル(stable)とは「安定した」という意味を持つ言葉です。ステーブルコインはその名の通り安定した、価格変動のない(米ドルの値動きに依存する)仮想通貨であり、支払いや交渉の過程で発生する価格変動による話の食い違いなどを防ぐことができます。また、価格が安定しているため資産防衛としての役割を持たせることも可能です。ちょっとしたことで株価が暴落する今日、ハイパーインフレなどのリスクも十分にあるため、資産の避難先としても十分利用することができるでしょう。さらに、国境を越えた手軽な決済手段として利用することも可能です。今日、使われている通過は国によって異なるので他国の通貨を利用するには両替が必要ですが、ステーブルコインの利用に両替は必要ありません。ステーブルコインでは手数料などもあまりかからないため非常に低コストで、かつ独自の決済システムであるので短時間で決済することができます。
もう少し踏み込んだ話をしましょう。フェイスブック社は「Libra」をブロックチェーンベースで開発・導入しようとしています。ブロックチェーンというのはいわば取引が記載された台帳のことです。これは二重取引や改ざんのリスクが非常に少ないために多くのシステムで利用されています。ブロックチェーンは取引の透明性が非常に高く、利用するみんなで監視を行っているために安全なのですが、フェイスブックで利用するとなると話は変わってきます。Libraはフェイスブックやインスタグラムなどのプラットフォーム上で決済を行うので、プライバシーに関する問題があるためです。友人や広告主、政府の目を避けて買い物をしたいと考えてる方にとってこれは大きな問題なのではないでしょうか。では、単純に取引の匿名性を高くすればいいのかと言われるとそうとは言い切ることができません。Libraに最先端のプライバシー保護技術を用いてしまえば脱税などの犯罪が可能になってしまうからです。その問題を解決する方法として、Libraにはビットコインなどで用いられている「分散型ブロックチェーン」ではなく、中央管理型が用いられることでしょう。
しかし、中央管理型にもデメリットはあります。完全に正確ではないという点です。常に値動きしている現実世界の通貨に対応させ続けることは非常に難しいでしょう。また、正確性を保つには人々が為替レートをゲームとしてではなく本物のお金として扱う必要や、取り付け騒ぎを起こさない必要もあります。これらの動きを中央のコンピュータで全て監視することは不可能に近いからです。Twitter社がチップの送信などをビットコインにこだわるのはこのような理由からでしょう。
フェイスブック(Facebook)社の仮想通貨「Libra」はメリットも多いがデメリットも多い
フェイスブック(Facebook)社の仮想通貨「Libra」は正直、信頼性が高いと言い切ることはできません。まだ開発途上にあるプロジェクトですし、発表された瞬間にいきなり飛びつくものではないでしょう。初めから完璧なプロジェクトなど存在しません。フェイスブック側も経験を重ねることでLibraの信頼性・正確性を向上させていくでしょうから、今後の動きに注目したいものです。